第3話

厳しい表情の父さん




物凄く大変なことをやらかしてしまった?


いやいや大丈夫なはず


やらかしてても 父さんがきっと解決してくれる






うちには 父さんとあたしだけ


母さんはいない




記憶がないわけじゃない


「明蘭 いい子ね ごめんねこんなお母様で」


優しく頭をなでてくれた


あたしは まだ2歳か3歳だったと思う


それ以来の母さんの記憶はない




「でも お母様って…ふつうは母さんでしょ


もしかして お嬢様だったの?やだ 父さんと身分違いの駆け落ち!きゃ―父さんやる―!」


一人で叫びながら…


だけど 寂しくはなかった


余りない母さんの記憶を父さんが教えてくれてたし いつも側にいてくれた


朝 起こしてくれて 一緒にご飯食べて いっぱい一緒に笑って 泣いて


高順ところのおばちゃんと高順の会話を聞いてたら いいなぁって思った事もあるけど


そんな時は 父さん滅茶苦茶かまってくれてたな


父さん 最高!




シャラン


最高!って腕を上げたら 首飾りがまた落ちてしまった


「またやっちゃったよ…」


拾いあげて また石をじっと見る


「やっぱり綺麗よね…ん?なにか中にある?」










「お願い致します。どうかおとり継ぎを」


「しばし お待ちくださいませ」




見知らぬ家人だった


いつぶりであろうか


ここを訪れるのは


時間が止まっているようだ


何も変わっていない




そう変わっているのは


自分の容姿と……立ち位置か…




かたり


扉があいた




「待たせた」


入ってきたのは 年の頃30くらいだろうか


いや まだ若く見える 目元の涼やかな 青年と言ってもおかしくない方であった




着ているもの 身に付けているものは 派手でなく 品のよいものばかりである




「ご無沙汰しております


お変わりございませんでしようか?」




「久しぶりだの


明蘭はつつがないか?」




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