第5話 プロローグ(Ⅲ)
夢だ。夢を見ている。
「手術は成功しました」
白衣を着た、お医者さんが言った。
自分の中で、命が息づいているのが分かる。名前の知らない誰かから受け継いだ、命が。
だったら……わたしは、お返ししないといけない。誰かの役に立たないといけない。そうしないと、自分で自分を許せない気がする。自分だけ幸せになるなんて、そんなの無理な注文だ。
それからわたしは、ずっと考えているのだ。
そのお返しする方法を、ずっと。
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