1話

『急な連絡ごめんなさい。もう LINEもインスタの本垢も連絡出来ないと思うので唯一繋がってたこのアカウントでこれまでのこと謝りたくて。迷惑なのも、私のただの自己満なのも分かってます。でも読んで欲しいです。

 あの時はごめんなさい。初めてあなたの思ってたことを聞いた日、私は何をどうしたらいいか分からず、何も言えないままただ無言の時間が過ぎていくのがとても辛かったです。日が過ぎるにつれて私はあなたと向き合うこと、話し合うことが怖くて、面倒で、あなたの言葉を何も聞こうともせず、全てを投げ出したくなりました。自分勝手な行動、本当にごめんなさい。どんなに後悔しても今更遅いってのは分かってます。ただこれで最後なので。お互いに卒業おめでとう。私はあなたと出会えて良かったです。ありがとう。幸せになってください。』




 光る液晶から、目が離せない。


 このとき何を考えていたのかは、もう思い出せない。


 ただ、口から漏れ出た言葉が、喧騒に溶けていくあの感覚。



「りおな……」



 俺は未だに、この時の夢を見る。

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