第4話
あれからメールを辿ったり部屋のなかを探したりしてみたけれど、フラッシュバックした記憶の他に手掛かりとなりそうなものは何も出てこなかった。
「愛美~?部屋の中ガタガタ音がしてるけど大丈夫??また何か有った??」
部屋の中を探していた音が煩かったのか母が声を掛けに部屋の前までやって来ていた。
「大丈夫だよ。ちょと片付けてただけだよ。」
「そう、なら良かった。今ちょと良いかしら。」
「良いけど…。何~??」
私の返事を聞くと、母が遠慮がちに何かのパンフレットを持って部屋に入ってきた。
「今愛実が通っている高校なんだけど…。魔術使える子は通えない学校なの。今回、魔力が覚醒したって市役所に届け出を出したら編入手続きをお願いされちゃったわ…。そこで、愛実…。物は相談なんだけど…。この中で行きたい高校は有るかしら…?」
おずおずと母が3つの学校のパンフレットを差し出した。
1つ目はここら辺では一番のマンモス校、【菅谷第一学園】
2つ目は科学も魔術も満遍なく学べる【神鏡しんきょう魔術·科学学館】
3つ目は魔術に特化した【日本魔術大学附属魔術高等学校】
どれも偏差値が高い高校だった…。
「お母さん、全部編入試験受からなそうだよ…。」
「大丈夫よ!事情を話したら愛美みたいなケースを想定して、この3つの学校は試験無しで編入できる特別クラスを準備していたみたいなの。今まで殆ど使われていなかった制度らしいけど、快く迎え入れてくれるそうよ。どれが良いかしら…?」
どうしよう…。
正直どれもこれも偏差値高すぎで恐れ多くて言い出せない…。
「これからの人生左右される選択なのは間違いないからゆっくり選んでね。パンフレット、机の上に置いて置くから。お母さんはこれから少し明日の仕事の準備に取り掛かるから、決まったら言ってね。」
「仕事の準備…?」
「体内の魔力を加工した紙に移して魔力を持った"魔力紙"にするのよ。後で少し教えてあげるわ。幼少期頃に覚醒した子は、小学生の内に親に教えて貰ってる事だから、愛美に教えるのはお母さんの仕事だし、楽しみにしてたのよ。」
そう言うとイタズラっぽくニコッ笑って部屋を後にした。
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