第20話

 リハビリは順調に再開し数日が過ぎた。

 やっぱりまだまだきつい。このまま頑張って歩けるようになるのか正直不安だ。

 最初はせめて杖要らずで歩けるくらいになれば……と考えてたけど、甘いのかな。


 左半身だけはそこそこ動くんだけど、右はどうも力が入らない。

 動かないわけではないんだけど、重力等に逆らう力が出ない。


 金縛りから起きる時のような、動くぞ~動くぞ~の意識がないと動かない。

 今後自家発電は左オンリーだな。元々左でしてたけど。


 でも今は自家発電するなら私が手伝おうかと璃澄が言ってくるだろうな。

 最近読んだ小説では妹がお手伝いしてたっけ。かなり羨ましいと思ったけど、璃澄に任せるとどうなってしまうかわからない。


 ついでに入れてみる?とか言われそうだ。

 どこに?と聞き返したらいけないやつだとわかるだろう?あの璃澄だぞ。ICBMという座薬を入れてくる璃澄だぞ。

 これ以上は想像しちゃいけない。お天道様が赦してはくれまい。


 脱線してしまったけれど……


 窓際に置いてあるミニプランターや鉢植えには、例によって白山さんち(ロイヤルガーデンしろやま)で買った花が飾ってある。

 情熱とか希望とか献身とかは良いんだけど、エロ変換されてる気がするんだよな。

 花言葉のエロ変換とか、璃澄以外には当てはまらないって。


 その証拠に、今日もリハビリの後の全身洗体で月見里環希さんがやってきてるんだけど。

 その様子をずっと横で見てるんだ。やり方を覚える……だけならまだいい。

 がんばれーがんばれーと、たまに言ってくれるのも良い。

 実際身体を動かすと痛くなる時もままあるのだから。


 

「最近私が拭いてもあまり反応しなくなりましたねー。」


 月見里環希さんはこういう事を言ってくる。妹の瑞希さんは良くも悪くも仕事に真剣だし忠実だから余計な事は言って来ない。

 痛い時は言って下さいねとか、拭き残しはありませんかとか、もう少し拭いて欲しいところはありませんかという感じだ。


 しかし環希さんはこうして揶揄ってくる。

 こちらだって綺麗な女性に触れられれば反応だってするもんだ。

 環希さんに対しては色々なネタも相まってこちらとしても反応強度が変わってきていた。


 環希さんが吹いてくれる時は、脳内で色々補完するようにしていた。

 今目の前にいるのはミスターマリック、今目の前にいるのはペタジーニ、今目の前にいるのは砂掛けババア……のように。

 するとどうだろうか、反応する事は極端に減ったんだ。

 つまりイメージ力というのは大事なのだ。

 ま、目を空けたら美人看護師であるのが分かってしまうので目を瞑るか逸らすかしてるんだけど。


「中を洗うのって大変なんですよねー」


 どこの中だって?そりゃ皮の中だよ。だからいつも剥いてから洗ってるんだよ。うっせぇわ。

 余談だけれど、反応している状態でぬくぬくとしたタオルで包まれると気持ち良い。これを女性のしなやかで細くて柔らかい手と指でされると……

 これわかってくれる男性いるだろうか。 


「まさか真生、イ〇〇になったわけじゃないよね、大丈夫だよね。」

 横で見ていた璃澄が聞いて来る。璃澄は学校帰りなのでまだ制服だ。

 もし璃澄がオーバーニーソを穿いていたら見事な絶対領域が出来てるんだろうな、なんて考えてしまったりする。



「ほら、見てみる?」

 璃澄がぱんつを見せつけようとスカートの裾を少しずつあげていった。

 絶対領域なんて存在しない。さっきも思ったが、璃澄はオーバーニーソックスを穿いていないのだから。

 かなり太腿の上の方まできているのだけど、一向に布地が見えてこない。


 もう付け根の手前まできているぞ。

 俺は首を少し横に傾けたままその様子を見ていた。


 そして……


「御開帳~♪」

 だからそういう言葉は女子が使うものではない。

 男子が女子の衣服を剥ぐ時に使うもんだ。

 後一枚剥いだら胸が見えるとか、後一枚剥いだら股間が見えるとか、そういう時に使うものだろう。

 

 そして璃澄がスカートを捲り終え、臍のあたりまでスカートを掴んだままの手を持って行くと……

 


「なぁ、何で穿いてないんだ?」

 俺は小学生の時以来の璃澄の下半身を見る事になった。

 多分俺が何を言ってるのかわかるまい。


 

「いつも見てばかりだから……たまには見て貰おうかと。ってあ、まおー……」



「反応しちゃいましたねぇ。」

 身体を拭いている月見里瑞希さんが反応していた。


「おっきしちゃったねぇ。真生……おっきしちゃった?」

 そんなマヤノみたいな言い方するなよ。

 というか……お前なんで穿いてないだけでなくて生えてないんだよ。


「おま……穿いてないはお前らしい……けど、なんで生えてない……んだよん?」

 ジョセフがリサリサの年齢聞いた時みたいな返しになっちまったじゃないか。


「企業秘密です。」

 いつの時代の拒否反応だよ。政治家の「記憶にございません。」の次位に胡散臭ぇ。


「乙女の秘密を簡単に言うわけないじゃないですか、ちなみに私も妹も元々薄いです。」

 聞いてないしっ。勝手に秘密を暴露された妹の瑞希さんが可哀想だよっ。


 実際の所は月見里さんと同じで、元々薄いと璃澄はゲロした。

 こういう時のネタ見せのために手入れして……つるつるにしていると。

 つるつるという言葉はハゲ丸君ネタ以外で口にすると戦争が起こる。

 主に校長とか教頭とか……


「しかし……中々小さくなりませんねぇ。」

 仕方ないだろう。一応まだ若いんだから、一応健全?な男子高校生なんだから。


「う~ん。そっちのお手伝いはお仕事に含まれてはいないんですよねぇ。」

「5分したら戻ってきますね。」


 月見里環希さんは一度退出していった。

 これは……収束するのを待つ……という意味なのか。 

 それとも……横でハァハァしてる変態幼馴染がナニかするのを待つという意味なのか。


「私ならプライスレスだよ?」



 10分後、戻ってきた月見里環希さんによってにしてもらった。

 月見里さんは、内緒にしておきますねと言って去っていった。




「そういえば、明日お義父さんが来るみたいだよ。」

 もうニュアンスがお義父さんについては気にしない事にしていた。

 先日お互いが好きあっている事がわかってから、それは現実的になる気しかしていないからだ。

 もし俺の人生がNTR系だったら、寝取られるのは俺の相手ではなくて、俺なんだろうな。身動き取れないし。

 

 まぁ璃澄になら美味しくいただかれても良いかなと思っていないこともないこともない。(どっちだよ。)

 合意の上であれば、将来えっちな事しても良いとは思ってる。あくまで将来だ。


「そ、うか……」

 親父も定期的に見舞いに来てくれるし、やはりいざという時は頼りにしている部分はある。

 話を戻して、親父の件だ。

 


「どうせすぐ知る事になるだろうけど、あの××××(自主規制)の話だと思うよ。」

 まぁ定期見舞いならそうだろうけど、態々明日行くとか名言するくらいなのだから、何か大きな話題がある事くらいは想像つく。

 しかし璃澄にまで自主規制で伏せられてしまうほどあいつは嫌われてるんだな。

 まぁ、俺の童貞を勝手に奪った相手だし、ある意味当然ではあるか。


 ん?童貞といえば……以前璃澄は何か言ってなかったか?

 思い出すのが怖いので、このネタは記憶の引き出しにしまって、鍵を複数かけておこう。

 南京錠とダイヤル錠とディンプル鍵と顔認証で。

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