トラウマの固まりなんです

 雨が降る予報を見ると不安になる。

 心構えをしても、台風のような強烈な気圧の変動が起きると詰んでしまう。

 今年の梅雨は、梅雨入り前から雨模様でじめじめ。気がつけば夏のような暑さの日々に早変わり。

 晴れ渡る空はありがたいけど、今度は気温差でどうにかなりそうな日々がやってきた。


 これは、身体がおかしくならない方が可笑しい!


 春先は、思いの外、調子がよかったのに、ここに来て体調が思わしくない日が続いてる。

 思い当たるのは、梅雨だから。

 だと思っていたら……

 かかりつけ医に、体調の悪さは親との問題かなって言われた。


 否めない。

 今月は、立て続けに親からの電話があったし、に付き合って、そこそこ疲れた。


 かかりつけ医は、婦人科医で漢方医。心療内科ではない。

 アプローチの仕方も生活習慣の改善と漢方と、身体のツボを使って身体を整える方法の指導が主だ。それに合わせて、現状だったり悩みだったりを相談することもあるんだけどね。


 先生は、ずっとらしい。

 話を聞いていても、アプローチをあの手この手試してみても、何か越えられないものがある。そんな感じだったのかもしれない。


 過去をフラッシュバックするかと問われ、親との関係だと話したら、物凄く納得していた。

 そしてついに、話は聞けるけど専門の先生に入ってもらった方がいい、と言われた訳だ。


 うん、いつかは言われると思ってたんだよね。

 自分でも、分かっていることだから。

 親との問題は、根深すぎるから。距離を置いている間は楽なんだけどね。もう、細かいことが積み上がりすぎて、ダメすぎるんだよね。


 過去の関わりで、心療内科やカウンセラーの先生とがなかったワタシは、心療内科にすごく壁を感じている。


 学生の頃、もう20年も前だけど、ワタシは『音楽療法士』になりたかったの。だけど、その道を絶ってくれたのが、まさに、臨床心理士の先生だった。

 当時、音楽療法士の権威と言われるような教授で、その先生に学びたい一心で大学進学したんだよね。でも、あっさり折られた。


「君は心理学科の学生じゃないから教えられない」


 シラバスには福祉科の学生も受講可になってますが?と、言っても聞き入れてもらえず。


 学部内では、とても頑固で有名な教授だった。

 けど、そんなことは入学前に知ることが出来ない。20年前は、今ほど情報収集は容易でなかったからね。

 入試説明会の時に『福祉科の学生も受講できる』と確認をとっていたにも関わらず、鶴の一声で、一番の目的を絶たれた訳だ。


 18歳。まだ純真無垢で、大人に楯突くなんてことも、訴えるなんてことも出来ず、諦めるしかなかった。


 これが心の傷にならないわけがない。

 そんなことも分からない教授だった。今ではそう思えるけど、当時は他に何を学べば良いのか、新しいものを見つけられずに過ごしたよね。

 おかげで、福祉とは無縁な生活を送ってるんだけど。


 話が脱線したけど──

 その教授が原因で鬱になった学生もいたらしいって話を聞き、心理学ってなんだろう?て物凄く不信感を抱くようにもなったわけだ。


 人の心の支えになるための学びのはずなのに、学生の心を折る教授。そんな教授に教わった人達の未来はどうなったのだろうか。

 当然、他にも先生はいたわけだが、その教授が大きい顔が出来たということは……と考えると、あまり良い印象は持てない。


 当時の友人達と連絡を取っていないから分からないが、もしかしたら、立派なカウンセラーになっているのかもしれない。


 もう20年も経ってるから、良い先生は増えているだろう。けど、怖いものは怖いんだよね。

 それくらい、若い頃のトラウマって根深いものなんだと思う。


 親のことといい、大学時代の経験といい、ワタシはトラウマだらけで生きていたわけだ。



 だけど、かかりつけ医の先生のことは信じられると思ってる。そんな先生が教えてくれた病院なら、一度くらい、訪ねてみるのも良いのかもしれない。


 あとは、ワタシが勇気を持つだけ、なんだろうな。

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