第4話中国軍襲来

その3時間後、—―――――――――――――――――――――――――

突然、ドカーン!!!!!と、爆竹が爆発したように大きな音がした。

「何事ですか????」

「うーん、まだ眠いよ。」

マドレーヌが運転していた間、仮眠をとっていた町と水戸が眠そうな目をこすって起きだす。

「右見て!!!!右!!!!!」

右って、ただの氷、、、、

「え?」

足元の氷が

「どういうこっちゃ、、、、、町ちゃん、運転手伝って。」

「はい。すぐに。」

速度を落とすことがなく、氷の角度はどんどん急になっていく。

「敵襲ですか???僕が、、、、」

「敵襲だとしても、氷を持ち上げるような相手だから、まともに戦えるわけはないでしょ!!!おとなしく車につかまっときなさい!!!!!」

「はい!!!」

鬼気迫る雰囲気を理解し、彼は何もしゃべらずに車に座る。

「どこに向かいますか????マドレーヌさん。」

「氷を踏みぬいてもいいぐらいの覚悟で海まで走り抜けましょう!!!!そうすれば海にはすぐにつくわ。」

彼女は思いっきりアクセルを踏み込んだ。

「ちゃんと奥歯かみしめときなさいよ、初期速度なんて概念、この車にゃ存在しないからね。」

直後、車は走り出した。それも風を切るような速さで。

「ばやずぎばせんかばばばばばば(早すぎる―――――――――――――――)」

言葉をうまく話すこともできやしない。

「ごのばばがばんじなざーい!!!(このままがまんしなさーい)」

10分が経っただろうか。又突然、氷が傾いた。

「「「え?」」」

ちがう。元に戻っただけである。車がゆっくりと、ブレーキを止めて減速してゆく。

「どういうことでしょうか?」

「・・・・・それより、この速度で走らないと危ないわね。海まで間に合わないわ。」

・・・・・

ズドン!ズドン!!ズドン!!!

後ろの方から嫌な音が響いてきた。なんだろう、振り向きたくないと町とマドレーヌは思う。

「!!!!!サラリーマンが後ろから迫ってる!!!!!!」

三人の中で一番視力がいい(他の2人はたいして見ていないが)水戸がそれを発見した。

「サラリーマン、、、、ですか?????」

「サラリーマン、、、、ああ。わかった気がするわ、、、、、、最悪ね。」

正反対な二人の反応。

「最終手段を使うしかないわね・・・・この車にも結構愛着があったのだけれど。

10分よ、10分。10分でいいから時間稼ぎをしてほしいわ。今こそ、君の出番よ、水戸君。町ちゃんもサポートで入ってね。」

水戸はわが意を得たり、といった表情をした。

「待ってました!!!!!!」

「了解しました。」

町はそういいながら出撃準備を整える。

「ほんっとに死なないでよね。あいつ、ヤバいわよ。」

マドレーヌはいたって真剣な表情でそう言っていた。


「マドレーヌは心配しすぎだと思うんだよな、一応第10位と第12位がいるのに、負けるなんてことはなかなかないと思うんですけど。ね、師匠。」

水戸は少し鼻の下が伸びている。

「いえ、可能性は十分あると思います。」

町はいたって冷静だった。

「あの方、おそらく顔立ちや服装から判断したところ、中国人だとおもわれます。つまるところ、中国軍でしょう。中国軍は規律が厳しいことで知られています。それでいて、あの方の周りには他の中国軍の方が見られない、、、、ということは。」

いったん言葉を切った。

「と、いうことは?」

「あの方が自由行動をとることを認められているぐらい強い、ということです。」

「なるほど!!!!確かに!!!!」

段々と迫ってくる人影を前にそんなことを言っている、ということも十分にのんきではあるが。


そのサラリーマンは、二人の前で急ブレーキをかけるように止まった。雪が彼らの顔に飛び散る。

「うげ、、、、冷たい!!!!」

「・・・・・」

視界が真っ白にふさがれた。

「すみませんねえ!!!!雪が飛び散っちゃって。」

声が大きい、サラリーマンであった。近くで見れば見るほど、南極ににぐわない、奇天烈な格好をしている。

「何のようでしょうか?」

その人物との実力差を如実に感じ取り、敬語で扱う水戸。

「いや、上の人からある石を、君たちからとってきなさい、って言われてね。」

ある石、、、厳重に封をしたキーストーンのことだろうと容易に予想がつく。

「渡してくれるかな?」

無言で二人は戦闘態勢を取る。

「渡すつもりはない、ということかな?」

サラリーマンは直立不動のまま尋ねた。

「そもそも、そんなものなんて私は持ってませんし。」

「え、ほんと?????ちょっと待ってね。」

彼は慌てて、バッグの中から電話を取り出した。

「目の前の人が、持ってないって言ってるんですけど!!!間違えたんで、

回収してもらっていいですか?」

そういった後、彼のケータイからは中国語の怒鳴り声が聞こえてきた。

「思ったより、まともそうじゃない?話通じそう」

「そう、、、ですね。話すことができれば時間稼ぎもできて、、、。」

彼はそういっている間も電話の相手と話していたが、

「ああ、はい。わかりました。この二人をとりあえず倒せばいいんですね。」

残念ながら戦わずに終わるなんてことはなさそうだ。

彼は怠慢な動作でそのケータイをしまうと、バッグを氷の上においた。


それが戦闘開始の合図だった。置いた瞬間、彼のバッグの一部は大きな長剣へと変形する。

町は自分の背中の中に隠していた弓矢を取り出し、後ろへと下がった。

「剣はまずいな、銃だったら楽だったんだけど。」

水戸は、そっちを見ながら周りに対抗できるものがないか探っている。

「あるわけないか、そんな都合がいいもんなんて。」

といいながら、手で何かを握る。

「なんですか?それ。」

「たぶん、そこら辺のクマが食べた動物の骨。」

ごつごつした手触りもするが、肉の破片がまだついていた。血がこびりついており、かなりべたべたする。

「な、なるほど。」

さて、サラリーマンはどう来るだろうか。


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