第3話出発の日
その後、様々なことがありながら出発の期日となった。
「第4位マドレーヌ!!!!!」
「第10位水戸!!!!!!!」
「第12位町!!!!!!!!」
「「「出発いたします!!!!!!!!!」」」
3人そろって綺麗な敬礼を見せる。三人とも程度は違えど緊張を胸に抱いていた。
「これが国連軍の存亡をかけた大事な任務であることはわかっているな!!!!三人とも鋭意努力し、全身全霊をかけてミッションを遂行するのだ!!!!!」
「「「イエス!!!サー!!!!!!!」」」
とは言ったものの。彼らはごつい護送車でノロノロと進んでいた。
「遅い。もっと飛ばしてよ。」
一番最初に文句を言ったのは予想通り水戸であった。
「しょうがないでしょ?ここら辺は氷が薄いんだから。本当に氷に穴が開くなんてこともあり得るのよ。」
マドレーヌはハンドルを握ったまま彼に返答する。彼女の言う通り、彼らは南極の氷が薄い場所を慎重に進んでいる。それこそウサギと亀の亀のように。
「マドレーヌさんの言う通りです。それに、この車はとても広いので普通の人ならば退屈することはないでしょう。」
国連が彼らのために用意した車はとても大きかった。それこそ一般的なキャンピングか―の5倍はある大きさをしており、個室も果ては浴槽でさえ用意されている。
「えー!!!!でも、景色は変わらないし。外に出たいーーーーー!!!」
このままぐずりそうだなと判断した町。ここで、ある勝負を持ちかけた。
「では、私とゲームをしましょう。10位様が勝たれたのなら外に出て好きになさってください。私が勝ったら私の言うことを一日何でも言うことを聞く。ということで。」
それを聞いて水戸は目を輝かせる。わが意を得たり、顔が表していた、
「ほんと?後で約束をなしにするのはだめだからね!!!!!」
ゲームを取ってこようと彼はすぐに自室へと向かった。
「ねえ?大丈夫なの?そんな約束して。水戸はまあまあ強いみたいよ、ゲーム。」
心配そうな顔をする彼女の言葉を聞いて、町は小悪魔的に微笑んだ。
「あのゲームには私も腕に覚えがありまして。」
「レデイ――――――――ファイト!!!!!!!!!!!!」
始めの合図を聞き、ゲームが始まった。
「オラオラオラァ――――――――――――――――!!!!」
最初から一転攻勢をする水戸のキャラクター。
たいして、町は無言でゲーム機を動かすカタカタカタカタという音だけを響かせる。
「反撃してこないの!!!!やっちゃうよ!!!!町ちゃん!!!!!!!」
カタカタカタカタカタカタ
「ほらほらほら、どんどん削れて、、、」
カタカタカタカタカタカタカタカタ
「削れて、、、、、」
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
HPバーは全くといっていいほど削れていない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
水戸はもう青白い顔をしている。
「あれ、もうあきらめられたんですか。」
「・・・・・・」
「では、反撃させていただきますね。」
カタカタカタカタ
「KO!!!!!!!」
画面に大きな赤い文字が躍る。
「では、これから一日私にお従いください。」
車の中での序列が決定した瞬間であった。
「では、浴槽の掃除を。」
「はい!!!!師匠!!!!」
「だから、師匠って、、、」
「いえ、師匠は師匠です!!!!師匠!!!!」
あれから5日。それからも、一日一回勝負をして、第10位は素直に雑用などを命じられても町に従っている。若干素直すぎてゲームの師匠と呼ばれているのは面倒くさいが。
「いいじゃない。し、しょ、う。」
「からかわないでください、マドレーヌ様。」
おそらくにやにやしながら言っているマドレーヌと、少し頬が赤くなっている町。どちらも彼らの人生の中では珍しい表情であった。
「師匠!!!!大変です、お風呂が火を噴きました!!!!!!!」
「・・・・すぐ行きますから動かないで待っといてください。」
ただ、もう一つ、面倒くさいことがあった、残念ながら雑用をしている彼は日常生活ができないほどに家事がへたくそなのだ。
「風呂が火を出すのはもう3回目です。いい加減覚えてください。」
「すいません、師匠。覚えが悪くて。」
彼らは戦場を駆け回っているはずなのに、まるで日常のような会話をしているのだった。
「ピーポーピーポーピーポー。」
突然、救急車の音楽が車の中で響き渡る。
「あ、ボタン押し間違えた。こっちだ。」
「ルーウールーウー警戒、警戒、敵対勢力接近、敵対勢力接近。」
赤白に車の内部が点灯し始めた。
水戸はにやつき始める。
「そろそろ出番ですか。」
窓から、自分たちに迫ってくる戦闘機を見つけた。扉に手をかけ、出ようとする。
「待って!」
マドレーヌがその手をつかんだ。
「その前に、この車に装備されてる基本機能を見せてあげよう。」
「機能?」
「そう。機能。」
得意げに、マドレーヌは説明を始める。
「まずは一つ目、町ちゃん!!!!」
「はい。」
運転席に座っている町が赤いボタンをポチっと押した。
「機関銃内蔵!!!!」
前方、横方、後方から合わせて9丁の機関銃が飛び出す。
「発射!!!」
もう一回赤いボタンを押すと、ドドドドドドドドド、と。機関銃が弾を発射した。まるでどこかでみた映画のように銃は自由自在に動き、球を放っていた。
「どう?かっこいいでしょ?」
後ろでは華麗にヘリコプターが撃墜されていた。
「・・・・俺もやりたいな・・・・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
おまけ 人物ファイル1
水戸真司
年齢:18歳だと推測される
身長:175㎝
体重:70㎞
血液型:0型
容姿:痩せ型
家族構成:不明
身体能力:かなり高い
性格:子供っぽく、人懐っこいが自己中心的である場合もある。人によって態度が変
わりやすい。
戦闘面:武器を使うことができず、武術を身に着ける根気もなかったため我流で戦っ
ているが、身体能力が高いため、第10位にいる。
備考:彼は基本的に人の言うことを聞かないため、任務に就かせる際は十分に考慮す
るべし。また、彼は貧民街で記憶喪失の状態で発見されたため12歳以降の記
憶がない。
友人:第35位と学園生2005番は友人であると述べている
好きなもの:ゲーム
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