第2話キーストーンの保護任務
「だれ?」
第10位のこの言葉を聞いて切れなかったのは本当に偉いと思う。こんなに我慢強くなったのは、それもこれもどこぞの1位とか2位とか3位とかのせいだが。
「第4位のマドレーヌよ。よろしく、第4位の水戸君。」
綺麗な白い髪と青い瞳。目鼻尻も整っていて世の中の男は十中八九振り向いてしまいそうな美貌の持ち主だが、水戸にはどこ吹く風であった。
「このお姉さん、どこかで見たことがある気がするなあ。うーん、どこで見たんだろうなあ?」
彼はマイペースに顔をひねって自分の顔をじっと見つめてくる。
「そりゃそうよ、任務を説明されたは・・・・・・・」
「あ!!!!そうだ、テレビだ。テレビ!!!!!お姉さん、テレビ出てたでしょ。
」
マドレーヌはまた一段と深いため息をついた。
「テレビに出てるのは私の妹。私はマドリーヌの姉よ。」
道理で見たことがあると思ったと彼は深くうなずく。
そのあとはとりあえず、彼を無理やり風呂に入れて、(シーズンが終わるとかなんだとか言って不満を言っていたのをゲーム機を防水加工することで風呂でやらせた。)彼はいま、個室で休んでいる。
「さて、だれか水戸君に任務の説明をしてくれる人は?」
もちろん、手は上がらなかった。しょうがない。どうにかして彼には自分が説明するほかないようだ。
「そ、そもそもあちらの教官が説明されたはずでは??????」
当然の疑問だろうが、
「彼、多分忘れてるでしょ。」
周りの職員たちが全員頭を抱えた。
「他の機関もキーストーンを血ナマコになって探しているはず。」
やはり第1位か第2位か第3位最低一人、なるべく二人以上がそろった万全の状態で国連本部へと輸送したい・・・・
「第一位第二位第三位のうちだれか、来れないの?」
周りの職員に聞く。
「最前線の状況は相変わらず芳しくないようで、、、連絡も取れないのも二人ほどいるようです。」
そうだろうなあ。あの3人の手綱を本部は握れないだろう。
「じゃあ、あの10位と町ちゃんと運ぶしかないのか。」
町ちゃんも頼りになるとはいえ、なかなかに難易度が高い任務になりそうだ。
「水戸くーん。」
彼女は仏の心を意識して水戸に話しかけた。
「なに。」
何も敬意を払う気がない返答にはもう慣れている。
「任務のこと、覚えてる?」
彼女は、「仏の顔も三度」と周りの職員たちが読んでいる目が笑っていない怖い笑顔をした。その返答を考えるために、彼は天井を見て三テンポ頭をひねる。
「覚えてないです。」
返事を聞いて、彼女は小悪魔的な笑い方をし、優しく笑った。
「そうよね。話、聞いてくれるかな。」
「君には、私と協力してこのキーストーンを輸送してもらいます。」
マドレーヌはそういって、厳重に封がされた50×50×50の立方体ほどの物体を目の前に置いた。
「このキーストーンは戦略的に重要な物質なの。だから、これを国連本部に持って行くのには様々な危険と障害が待ち受けてるわ。」
彼は話を真剣に聞いているようには見える。
「様々な機関が狙うほど重要なもの、ということですよね。」
「ええ。そうよ。」
少し重い雰囲気が漂ってきたか。
「人間。」
もちろん、人間は一枚岩なわけではない。国連軍が最上位であることに違いはないが、様々な勢力が入れ混じっている。
「この石には様々な勢力が動くほどの魅力がある。私たちは、これをニューヨークまでのおよそ50日間運ばないといけないわ。」
マドレーヌは、そうは言ったがすんなり50日とはいかないだろうとは思っていた。場合によっては2倍にも3倍にもかかるかもしれない。
そう話してもポカーンと水戸は口を開けていた。
「ねえ、わかってる?この任務の重大さ。」
「たぶん。」
まあいい。戦えば強いのだから。
「出発は10日後よ。そのあいだこの基地を探検でもしときなさい。」
と言われたので、水戸は周り中を歩き回っていた。
どうやら、ここの基地の外側は一種の城下町として機能しており、様々な施設があるようだった。当然、兵士の家族やそのほかの一般人もたくさんいる。
「温泉、北海道の温泉だよー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
北海道か、、、、と水戸は思い出した。今まで一回も行ったことがない場所である。温泉というものにも生まれてこの方入った経験もないので、彼は入ることにした。
「お客さん、いらっしゃい!!!!」
風呂に入る場所の前にいた番頭といわれていた人にお金を渡すと、タオルを渡された。どうやら、温泉にはこれを使って入るらしい。
中に入ったら、そこは小さな更衣室になっていた。ふむ。見張りはいないのか。新鮮だな。リラックスできそうだ。じろじろ見られることもない。
「入ってみるか。」
扉を開けると、そこには真っ白い蒸気が漂っていた。中には屈強な男が何人も幸せそうな顔で座っている。
身体をすぐに洗い、早々に湯舟に行く。
「あつっ!!!!!!!!」
想像していたより、風呂の温度は高い。
今度はそおっと、足を入れ体全体を入れるようにした。
「ふー。」
言っていた通り、肩までつかると気持ちいい。寝てしまいそうだ。
「あー気持ちよかったあー。」
彼は浴衣姿で温泉から出てきていた。さて、ここからどこに行こうか。と、行く場所の目安はもうついている。温泉の横にあった、南極でリアル寒中水泳、という看板を見上げた。誰も入ろうとしていないし、閑古鳥が鳴いているという表現がふさわしい店であったが、彼は温泉で温まって、寒中水泳をするのか。いいコンビだ。と考えていた。
「第10位の水戸さんでしょうか。」
ふと、背後から声を掛けられた。
「そうだけど。」
後ろを向いてもだれもいない。
「あれ?」
どこから声を掛けられたのだろう。
「下です。」
「下?いた!!!!!!!!!」
150㎝に満たない身長と、青い髪と黒い目をした幼い体に見合わない大人びた表情をしている少女が。
「これから、キーストーン保護任務に同行させていただきます。第12位の町です。」
彼女は、その小さい体で真っ直ぐできれいなお辞儀をした。
「町ちゃんね、よろしく。」
「よろしくお願いいたします。」
小さな手と握手を交わし、信仰を深めようと、
「じゃあ、一緒に寒中水泳行こうか。」
こう誘ったが
「それは嫌です。」
彼女は本当に嫌そうな顔をした。
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