第3話 鳩羽和菓子店

77の秘密を解いて下さい。

そう.....乃木坂は俺に笑顔で言う。

何故か知らないけど俺だけにそう.....提示してきた。


俺はクエスチョンマークを浮かべながら.....歩いて帰る。

途中まで瑛太と一緒に帰っていたが.....別れ道に差し掛かったので、だ。

そうしていると.....目の前の和菓子屋。

住宅兼店舗の店舗に人影があるのに気が付いた。

店長である親父(柔道選手だったムサイ)男が対応しているが.....何だろう。


見た事のある後ろ姿だ。

俺は目を丸くしながら.....その姿を真正面から確認する。

すると、先輩♪、と笑顔で.....あれ?

乃木坂ぁ!?


「近所で有名な和菓子屋の店主さんの名前が鳩羽勇気(はとばゆうき)さんだったのでまさかと思いました。多分.....先輩のお父さん辺りかなって」


「.....いや.....まあ親父だし有名っちゃ有名だけど.....お前が来るとはな。まさか」


そんな感じで恥じらっていると。

親父が余計な言葉を打ちかましてきた。

それも海パンが似合いそうな歯を見せて、だ。

ムキムキのマッチョめ.....、と思うのだが。


「オウ。ミルコ!お前の嫁か!アッハッハ!!!!!」


「嫁じゃねーよ.....乃木坂はそんな関係よりも告白して振られたんだぞ」


「おう?そうなのか」


「.....そうだ。.....だからまあ.....」


と思いながら乃木坂を見る。

乃木坂は嬉しそうに小さくガッツポーズ.....あれ?

俺は思いながら見ていると乃木坂は、ううん、と咳払いをした。

そしてまたいつもの様にあざとくなる。

またまた。お父様ったら、と、だ。


「乃木坂?ガッツポーズをしなかったか今」


「.....?.....何の話ですか?」


「.....え?.....いや。ガッツポーズ.....」


「してないもん。.....気のせいです。アハハ」


えー。

思いつつ親父を見るが。

親父は既に別に接客していた。


その為に見てない様だ。

間違いなくガッツポーズをしたんだけどな。

気のせいか?


「.....まあ良いや。でも振った相手の家に何で来たんだ?お前さん」


「.....私ですか?.....そうですね。何ででしょう。.....先輩が面白いからかなぁ」


「あざとくするなよ.....」


「.....あざとくないですよぉ?.....私は何時もこんな感じです」


「それはそれで何だか凄いんだが.....」


でもそれにしても本当におかしいよな。

俺の家に来るなんざ。

考えながら.....乃木坂を見る。


乃木坂は、では私.....和菓子も買いましたし帰りますね♪、と俺に向いた。

俺は、お。おう、と挨拶してから.....その姿を見送る。

頭を叩かれた。


「何で返すんだ?」


「何でって親父は馬鹿なの?返して当たり前だろ」


「.....あの娘はお前に惚れているんだぞ。良いのか」


「そんな訳無いだろ.....アンタ」


流石にその読みは当たってないんだが。

俺は思いながら額に手を添えて盛大に溜息を吐く。

親父は人差し指を口に咥えて、えー、と反応している。

(・・)みたいな感じで、だ。


いやいや、と思いながら俺は親父をジト目で見る。

そんな簡単に上手くいくかよ。

思っていると、そういえばあの娘。何だかお前に預けて欲しいとか言って.....小さな紙袋を置いていったぞ、と俺に渡してくる。

それはハートの模様の入った紙袋。


「え.....」


早速と期待して中身を確認すると。

何かお菓子の箱に紙がくっ付いている。

それは.....乃木坂のメルアドとか記載されていた。


嘘だろオイ、と思いながらそのお菓子の箱を見る。

どういう意味なのだろうか.....?

分からなかったが赤くなりながら俺は.....そのメルアドをガッツして小さく喜んだ。

乃木坂のメルアドなんぞ.....奇跡だしな。

でもあのあざとい感じだしなぁ.....。

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