第2話 77番中の45番目

手紙の中にはこんな物まで入っていた。

というのも所謂.....単語帳。

そこに乃木坂の事に関する77のヒントが纏めて書かれているのだが.....。


手紙には77も解ききれないと思いますからヒントあげます、と.....書かれている。

しかしまさかお手製かこれは.....?

時間掛かったろうに、と思う。


「77の秘密を解ければ付き合える.....ねぇ」


昼休み。

俺は昼飯を一緒に食った瑛太に断りを入れてから。

中庭に一人でやって来てから単語帳を見る。

適当に捲るとNo45に当たった。

そこにはこう書かれている。


(私が好きなものは何でしょう)


「.....これヒントじゃねーだろ.....ヒントとは言わない」


そんなブツブツ言葉を発していると。

背後から、セーンパイ、と声がしてくる。

俺はビクッとして背後を見る。

そこに.....乃木坂が立っていた。

ニコニコしながら、である。


ブロンズの髪の毛。

多分.....染めてない筈だ。

地毛だと思う長髪に.....黒の大きな瞳。


そして青色に近い蝶の髪留め。

それから.....俺を見る真っ直ぐな優しげな顔。

まさに美少女。

俺は少しだけ紅潮しながら.....その姿を見る。

そして聞いた。


「.....どうしたんだ?乃木坂」


「.....早速.....私の単語帳を使ってくれてますね?アハハ」


「.....お前の意思はさっぱり分からないんだが.....」


「私は分かりますよ。何の意思か」


「.....いや。お前は分かるだろうけど.....」


俺は盛大に溜息を吐きながら.....単語帳を見る。

すると乃木坂は何を思ったか俺の隣に腰掛けてきた。

俺はビクッとしながら.....乃木坂を見る。

何やっているんだコイツは!?

驚愕なんだが。


「先輩。その77を解いたら.....私.....」


「.....な、何でしょう」


「.....やっぱり秘密です。.....アハハ」


「.....勘弁してくれ」


しかし77の秘密か。

45.....うーん。

そうだな、と思いながら乃木坂に向く。

そういえば.....噂だが.....。

俺は考えながら乃木坂を見る。


「お前、パフェが好きだったよな。チョコレートパフェ」


「.....!.....そうですよ。正解です。先輩」


「.....そうか」


「.....だから先輩の好きなのも教えて下さい。食べ物」


「.....俺が好きな食べ物?.....そうだな.....カツ丼とか?」


「.....そうなんですね。.....男らしいですね。アハハ」


何なんだ全く、と思っていると。

乃木坂は単語帳を渡す様に要求してきた。

それからパラパラと捲ってから印鑑の様な物を取り出してそれに押す。

そして、にひひ、と言いながら見せてきた。

そこには。


「合格です。先輩」


「.....ウサギの印鑑?」


「.....そうです。.....合格したらこの印鑑を押してあげますよ。先輩。だから頑張って下さいね」


「.....これを解いたら付き合えるんだな?」


「.....そうですね。.....先輩」


俺の近くに寄って来る。

それから手を添えて見上げてきた.....な。何だ!?

そう思っていると.....乃木坂は潤んだ目をした。

そして俺を見てくる。


「.....いや。やっぱり良いです。駄目です」


「何で!?何だよ!?」


「えへへ。.....秘密です。先輩♪」


「.....勘弁してくれ.....」


こんな感じが76も続くのか?

ドキドキが収まらないんだが.....勘弁してくれよ。

俺は思いながら.....胸に手を添えつつ。

柔和な乃木坂を見る。

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