第110話 先輩と運命の再会

【新作】

 新作を投稿しました! 題して、


『〇ッチギャルのお相手は、幼馴染の俺のようです』


 です!

 よろしくお願いします!


 ────────────────────


 なんやかんや純夏と天内さんの圧に負けて、5人で食事を取ることに。

 2人はメニューを見て料理を決めている。

 けど、花本さんともう1人の女性は、完全に気まずそうだった。

 地獄の空気。どうしよう、これ。

 しかも俺以外の4人、マジで美少女すぎるから、他の客からの視線も痛い。

 帰りたい、切実に。

 ちびちびジュースを飲んで顔を伏せていると、天内さんが「あ」と声を上げた。



「そーだ。海斗くん、カレンさん、しょーかいするね。こちら、ウチらのバイト先の先輩で、青座智香あおざともかさん」



 と、紹介された青座さんは、また気まずそうに無言で頭を下げた。



「は、初めまして。吉永海斗です」



 以上、会話終了。

 俺にトークスキルを求めないでくれ。さっき花本さん相手ですら、話をふくらませられなかったんだから。

 どうしよう。とりあえず当たり障りのない所から……。



「えと……ば、バイト先って言ってたけど、2人ともバイトしてたんだね」

「うん。ウチら読モしてんの。智香さんはほんぎょーのモデルさんだけどね」

「へぇ、読モ……読モ?」



 え、何? 純夏と天内さん、読モなんてしてるの?

 訳が分からず困惑してると、純夏がスマホを俺に向けてきた。



「私は【sumika】名義で、深冬は【みーちゃん】名義なんすよ。ほら」

「マジか」



 え、これ知らなかったの俺だけ? だってそんなこと、1度も聞いたことないけど。

 思わず花本さんを見る。

 花本さんは知ってたのか、首を竦めた。

 えぇ、マジ? 俺そんな子たちと毎日添い寝したり、ハグしてたの?

 うわ、えぇ……芸能人じゃん。



「つってもウチらは、そこまで本腰入れてるわけじゃないけどねぇ〜。智香さんみたいには無理」

「2人なら即戦力だよ。学校卒業したら、本契約結びたいって社長も言ってるし」

「あはー。考えておくね」



 おぉ……プロからもお墨付きを貰ってる。すごい。

 青座さんは常温の水を飲むと、俺に目を向けた。



「吉永海斗くん、だっけ。純夏とみーちゃんがお世話になってるみたいだね」

「い、いえ。俺の方こそ2人には助けられて……」



 主に寝る時とか、甘える時とか。

 ……言葉にすればするほどクズだな、俺。



「そう。吉永くんは、2人の……学校の先輩、なのかな?」

「はい。一応」

「一応ってなんすか!」

「ウチらこーはいじゃん!」



 って言われても、1度も後輩らしいと思ったことないよ。



「……仲、いいんだね」

「もちっす。私、ソフレですから」

「ウチ、ハフレ」

「は?」



 おいコラ2人とも、それ言わなくていいから!

 キメ顔をする2人の口を慌てて塞ぐと、青座さんは不思議そうに首を傾げた。

 いや、本当に気にしないでください。


 青座さんは不審そうな目を俺に向けると、直ぐに興味をなくしたのか顔を伏せた。

 花本さんも、さっきからスマホをずっと弄っている。



「花本さん」

「なんだよ」

「挨拶しなさい」

「お前は私の親か……」



 今だけはそれを自負してます。

 俺の勘が正しければ、花本さんと青座さんは面識がある。

 そしてこの地獄の空気を考えたら、恐らく2人は……。

 花本さんはそっとため息をつくと、青座さんを見た。



「……久しぶり、智香。高校2年ぶりか」

「えと……うん。久しぶり、カレン」



 花本さんの声に青座さんも反応するが、2人の間にそれ以上の会話はない。

 もしかして2人って、例のグループのメンバー……?

 でもそのことを知らない純夏と天内さんは、前のめりで2人に迫った。



「えーっ!? 2人って友達なんすか!?」

「初耳なんだけど! こんな所で再会とか、うんめーじゃん!」

「こらこらこら。2人とも静かに」



 今はそんな空気じゃないことくらい、俺でもわかる。

 案の定、2人はまた視線を逸らしてしまった。



「カイ君。もしかして2人って、仲悪いんすかね?」

「あー……多分」

「なーんか、ふいんき悪いよね」



 天内さん、それを言うなら雰囲気ふんいきね。

 気まずい空気が漂う中、料理が着々と運ばれてくる。


 結局食事中も2人の空気が改善されることはなく。

 純夏と天内さんだけが空気を読まず、やいのやいのと料理の感想を口にしていた。

 2人は通常運転で元気だなぁ。

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