神様と彼女の場所取り戦争 4

 次の日――。


 ざわざわと穏やかな風に揺れるイチョウの木。


「良いわー。この感じ。うんうん、秋って感じで良き良き」


 神様が風情を楽しんでいると……。


「もういーかーい?」


「もういーよー!」


「もういーよー!」


「もういーよー!」


 またしてもいつもの子供達です。


 そして、イチョウの木にいるのは……。


 やっぱりあの女の子です。


 神様は透かさず猫ちゃんを投入します。


 そしてまたすぐに見つかって……神様は猫パンチを食らって買い出しに行くのでした。


「あーもう! 昨日の内に買いめしておくべきだった」


 そして次の日も、その次の日も、そのまた次の日も……。


 いつものように子供たちは境内にやって来ては元気いっぱい遊ぶのでした。




 さて、一つ気がかりなのはこのという女の子。


 かくれんぼの時は決まってイチョウの木に隠れるのです。


 もうすっかり慣れてしまった男の子は真っ先にイチョウの木へやって来てはすぐに女の子を見つけてしまいます。


「お前いっつもここに隠れるよな。たまには他の所に隠れろよな」


「だって、一人になるの怖いんだもん……」


「あー、もう分かったよ」


 男の子は他の子供たちを探しに行きます。


 女の子はその背中についていくのでした。

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