神様と彼女の場所取り戦争 3
神様は通りがかりの猫ちゃんに手招きします。
「ちょっとあの子供を追い払ってきてくれない?」
「みゃー?」
「何? 自分で行けばって? 子供相手に神であるこのわたしがわざわざ出向いたら角が立つじゃないの。お願い、後でキャットフード買って来てあげるから」
「みゃー!」
イチョウの陰に身を隠す女の子。
息を殺して、胸のドキドキを押さえます。
そこへ猫ちゃんがやって来ました。
「みゃー! みゃー!」
――!!
「しー! しー!」
女の子は唇に人差し指を当てながら必死に猫ちゃんに訴えます。
「みゃー! みゃー!」
「後で遊んであげるから静かにしてよー!」
「あ! あゆみ見っけ!!」
女の子は見つかってしまいました。
神様は嬉しそうに叫びます。
「よし! 猫ちゃん、よくやってくれたわ!」
「みゃー!」
猫ちゃんが神様の元へ戻って来ました。
「みゃー! みゃー!」
「え、何? キャットフードよこせって? 後でね。せっかく子供たちがいなくなって静かになったんだからさー。ね? 分かるでしょう?」
「んみゃあ!!」
「痛っ! ちょ、痛い痛い。もう、分かったわよ。買ってくればいいんでしょう? 買ってくれば……」
強烈な猫パンチを食らい、しぶしぶ買い出しに行く神様なのでした。
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