あのホームレスに七億を…… 5

 ヒイラギは手をパンっと合わせると軽快な口調で話し始めます。


「ではでは本題に入りましょう。おじさんは今すぐ宝くじを買ってきてください」


「唐突だな。新手の詐欺か何かか?」


「失礼ですね。ヒイラギは詐欺師でもなければJCでもありません。実はヒイラギは神様なのです」


「ふーん、あっそ」


「あ! さては信じていませんね? じゃあ、分かりました。では証明しましょう……ヒイラギが神様だということを……」


 何かを念じるヒイラギ。そして両目をカッと見開くと……神様の方へ顔を向けます。


「え、なに? どうしたのヒイラギちゃん」


 すごい目でこちらを見てくる妹に神様が困惑していると、今度はウィンクがたくさん飛んできました。


「言っとくけどわたし何もやらないからね」


 神様は妹を適当にあしらうのでした。


 …………。


 何も起こる気配がないのでおじさんは尋ねます。


「で、何を証明してくれたんだ?」


「これでおじさんは宝くじで大金たいきんが当たるようになりました。ヒイラギは神様なので嘘はつきません」


「本当かよそれー。んなもん言ったもん勝じゃねーか。じゃあ俺だって……それ! これで嬢ちゃんは今度のテストで百点が取れるようになった」


「もう! ヒイラギをそこらのペテン師と一緒にしないで下さい! とにかく買っといて下さいよ。ヒイラギまた一週間後に来ますから」

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