あのホームレスに七億を…… 4

 はたからずっと見守っていた神様。


 しびれを切らせてやれやれと立ち上がります。


「ごめん、カラスちゃん達、ちょっとお願い」


「カーカー!」


 状況を察したカラス達は一堂に会し、悪ガキ達の頭上を旋回し始めます。


 そして――。


「カーカーカーカーカー!!」


 ビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャ――。


 悪ガキ達の頭上に糞の雨が降り注ぎます。


 その姿にヒイラギは指を差して笑います。


「あはははは! これじゃあどっちが汚物か分かんないですね」


「うわーん! 助けて―!!」


 悪ガキ達は泣きながら去っていきました。


「おじさん、大丈夫ですか?」


「ああ、俺は大丈夫だ。嬢ちゃんは?」


「私は所々避けてるから大丈夫です!」


「嬢ちゃんズルいってそれは……、俺はあの石ころ全弾命中したってのによー。……く、くくく、ははは、あーはははは!!」


 するとおじさんは噴き出したように笑い始めます。


「どうしたんですか?」


「いや、さっきの凄かったな! 俺あんな光景初めてみたよ。なんかスカッとしたっていうか……」


「あ、おじさん、やっと笑いましたね」


「まあ、あんなの見たら笑うしかねーだろ。……ところで、嬢ちゃん名前なんていうんだ?」


「ヒイラギです。……あ! 人に名前を聞くときはまず自分が先に名乗って下さい」


「それ言うなら先に名乗っちゃだめだろ。まあいいや。俺は……」


 おじさんが名乗るとヒイラギは透かさず返します。


「普通の名前ですね。これからもおじさんって呼びます」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る