神様の大誤算 5
あれからというもの、男の子が参拝に来ることはなくなりました。
神社は通学路の途中に位置しているのですが、入り口の鳥居に差し掛かっても俯いたままスルーしていく男の子。
とても心配です。
「何よ! わたしが悪いって言いたいわけ?」
どこからどう見たって神様が悪いです。
「もう、分かったわよ。
夕方になると主婦たちが他愛のない話で盛り上がっていました。
その中にはハニーの姿もありました。
噂話好きのおばちゃんがハニーの顔を見て話題を上げます。
因みに今のおばちゃんは神様に操られています。
「そういえば私見ちゃったのよ。あなたの旦那さんが仕事関係の人に引っ張られて夜のお姉ちゃんのお店に入っていくところを……」
「え?」
キョトンとするハニー。
話を続けるおばちゃん|(神様)。
「会話までは聞こえなかったけど、顔は見えたから唇の動きを呼んだの。ほら、私って読唇術検定1級持ってるじゃない? そしたらね、あなたの旦那さんったら『いえ、自分には愛する妻がいるから結構です』ってそればっかなのよ。それも終始ずっとよ」
「え? それって……」
「そうなのよ。真面目かって。でも真面目で奥さん思いの旦那さんで羨ましいわー」
それを聞いて目に涙を溜めるハニー。
大慌てで駆け出します。
鳥居の下――。
神様が石段に座って頬杖をついています。
すると右方向、遥か先からハニーの姿が見えてきました。
「ダーリーン!! ごめんなさーい……私が間違ってたわー♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡」
そして左方向からはダーリン。
「良いんだよハニー! ハニー愛してるよー♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡」
左右から走ってやって来る
「もうダーリンの事、一生離さないんだからー♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡」
「僕もだよハニー! 僕らの愛は無限大さーーー♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡」
「「ぶっちゅー!!」」
二人は濃厚なキスで愛を確かめ合うのでした。
神様に冷めた目で見られているとも知らずに……。
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