第26話 忘れてた…
そんなお手紙騒動&私の思い込みの勘違い美醜逆転の世界のアレコレのせいですっかり忘れてたことがあった。
ジョナの探りをまったりかわしながら、数日過ぎたある日…私に来客ありを告げられて首を捻ってしまったのだ。
「ブレイド=マスメット………誰?」
名前を聞いて心当たりがなかったので、真顔でカレンに聞き返すとカレンが
「大伯父の孫にあたる方でございます」
と、端的に答えてくれた。
孫……ああっあれか!そう言えば手紙で勝手にこっちに来るとかなんとか言ってたっけ?ああ~もう、ラナイス様がいない時に来るんだもんなぁ。面倒くさい…
と、この時は思っていたのだが、
仕方なくその孫を出迎えてやろうと離れの客間に移動しようとした時に、ガチャッ…と裏庭の窓と思われる辺りから何か音が聞こえてきた。
まっ……まさか!?大伯父の孫は窓から侵入してくるつもりなのか!?
「ミ…ミツルちゃん!!」
見た目だけはガテン系のミツルちゃんを大声で呼びつけて、ミツルちゃんをガンガン前に押し出し、ミツルちゃんの背後に隠れつつ…窓際に徐々に近付いて行ってみた。
因みに泣き虫でビビリのジリアンは副官のリガーダさんと2人で調理場に食材を貰い(強奪)に行っている。流石に毎日、市場に食材を買いには出られないので、苦肉の策である。何故、ジリアン&メガネリガーダコンビなのかは、不明である。
面倒くさいのでカレンがジリアンに押し付けた説が濃厚と私は見ている。
それはさておき、私とカレンとミツルちゃんはガタガタと揺れている窓際にやって来た。
「先頭、怖いですぅ……」
グイグイ押されている乙女男子の嘆きは華麗に無視をした。
「ミツルちゃん!窓の外に何か居る?見える?」
ミツルちゃんの背後から叫んでいると、ミツルちゃんが後ろを向きながら
「あの…テルリアン様がいますけど…」
と、言ったのでカレンと一緒に窓を覗き込むと、窓の外には可愛く微笑みながら手を振るテルリアン叔父様が立っていた。
なんなんだよっこんな忙しい時にっ!
ミツルちゃんが窓の鍵を開けると、窓枠に足を掛けてスルッと室内に入って来たテルリアン叔父様。
ん…あれ?テルリアン叔父様の着ている服って…使用人の制服じゃ?
「こんな所から申し訳ないです~離れの門前にはジョナと見慣れない若者が立っていて、門からは入れないので、こうして窓から馳せ参じたという訳ですよ」
窓から入って来たテルリアン叔父様は笑顔で答えてくれたが、ツッコミどころが満載ですぞ。
「はあ…あの…テルリアン様の着ている服って、使用人の制服…ですよね?」
私がそう聞くと、可愛い顔で姿勢を正して見せてきた叔父様(推定年齢アラサー?)
「いや~似合ってる?そうですね!」
いや…そんなことは言ってない…
「先程も言いましたがどこかの遠い親戚の孫?みたいなのが、勝手にやって来てまして勝手に邸内に侵入して騒いでいます。大胆にもナノシアーナ殿下と会わせろとも言っておりますので、ここは私の出番かと思いましてね」
いや…説明になってない…
「どこかの遠い親戚の孫?と私は面識も御座いませんし、使用人に扮してナノシアーナ殿下のお側で控えさせて頂いてもバレませんし、奴の言い分をしっかり聞いてやろうかと思いまして〜」
ひえぇ…そんなことするつもりなの?上手くいくのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます