第24話
「本当に侍女ですよ?……え、もしかして不法侵入して堂々と侍女のフリをしているやばい人に見えてます?」
真剣な顔で逆に問うが、ぶふっとライズは吹き出して、横にいるホワードも顔を背けているが肩が震えている。
笑うツボが同じなのが親子らしい……
いや、特に笑わせるようなことを言ったつもりはないのだけれど。
「そっ、そうじゃなくて……今まで本邸でも別邸でも誰もこの場所を気に留めてなかったから。それに侍女って身分が高いお嬢様がなるんでしょ?こんなに泥だらけになるのに手伝ってくれてるし。……それとお父さんの仕事、褒めてくれたから」
と、ライズは少し照れたように笑っていた。父親のことを自分のことのように喜ぶ笑顔にとても心が和まされる。
その言葉を聞いたホワードは、寂しそうな表情を浮かべてライズの頭を撫でた。
「ディミロー様以外にも昔はいらっしゃったんだ。ライズはまだ幼かったから覚えてないが、亡くなられた奥様もよく庭に出て来られては気にかけて下さっていた。……本当にお優しい方だった。」
亡くなられた奥様、ということは……
ここに来てからだいぶ時間も経ったので、そろそろ戻らないといけない。温かく接してくれたお礼と、すっかりタイミングを逃していたが、様付けされるのは慣れないのでリリアと呼んでほしいとお願いした。
「またいつでも来て良いよ、リリアさん」
どこか甘えるように笑うライズにくすぐったい気持ちになり、またすぐ来ますねと笑顔で応えた。
「別邸から少し離れていますので、送って行きましょう。ライズ、悪いが残って帰る支度を頼む」
一緒について行きたかったのだろう、唇を尖らせて不服そうにはーいと返事をする。
「すみません、すっかりライズが懐いてしまったようで」
歩きながら、申し訳なさそうにするホワードに、全然大丈夫です、むしろ嬉しいくらいです。とぶんぶんと手を横に振ると
「そう言って頂けて有難いです。……実はリリアさんにお見せしておきたいものがありまして」
そう言って別邸から少し外れたところにある小屋へと辿り着く。ホワードが鍵を開けると、道具が綺麗に整頓された部屋の半分を占領している木箱があった。
「これって……」
ホワードに促されて開けてみると、いくつものシーツが綺麗に折りたたまれて入っていた。
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