第23話

人に指をさすのはよくないぞと嗜めて、大きな手を息子の頭に置き、同じように頭を下げさせる。


「ディミロー様、ご挨拶が遅れ申し訳ありません。別邸の庭の管理をしているホワードでございます、これは息子のライズで私の手伝いをしております。そのようなお言葉を頂き、ありがとうございます」


ワイルド過ぎる見た目と反する丁寧な物腰のギャップで先程の自分のリアクションが更に申し訳なく感じてしまう。


「びっくりして気を失ってたけどね」


頭を上げたライズはおかしそうに笑っていた。


「本当に失礼しました……あっ、まだお仕事中ですよね。良かったら私もお手伝いをさせて頂けないでしょうか?」


その提案に二人は驚いた表情を見せる。


「早く仕事が片付いて時間があるので、驚いてしまったお詫び……になるほどの戦力になれるか怪しいですが、いないよりはいた方が良いくらいには頑張りますので!」


ふんすとやる気を見せる私に、土で汚れたり虫もいたりしますが……と心配してくれるホワードに、


「汚れても大丈夫です、制服たくさん支給されてますので。虫も……ダイジョウブデス!」


「最後すごい片言になってるけど……お父さん、手伝ってもらおうよ。ちょうど木が届いたところだから助かるし」


ホワードは、助け船を出すライズと食い下がる私を交互に見て、


「じゃあちょっとだけお願いしましょうか」


と指で少しだけのジェスチャーをしながら、笑顔で応えてくれた。


それからの時間はあっという間だった。新しく植える木を運び入れて土を掘ったり肥料を入れたりして根付くようにする。


気付くと汗と土ですっかり汚れてしまったが、無事作業が全て終わり、何もなかった場所に新緑が風に揺れて気持ちが良い。


「ディミロー様、ありがとうございます。ちょっとだけと言いながら結局全て手伝って頂いて」


良かったらどうぞとお茶を差し出されありがたく受け取る。しっかり冷えたお茶が身体に染み込んでいく。


「いえいえ、私がしたかったことなので。むしろわがままを聞いて頂いてありがとうございます」


ぺこりと頭を下げる私を、同じようにお茶を飲んでいたライズは不思議そうに見る。


「ディミロー様って本当に侍女?」

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