第2話

一瞬のフラッシュのような強い光が消えると、先程まで自分がいた部屋とは異なる色をした天井と、こちらを嬉しそうに覗き込むやつれた男性と、結った髪が乱れ涙をぼろぼろとこぼす女性が視界に飛び込む。


「おお!やっと目を覚ましたんだな!!」


「ああ……良かった。本当に良かった……ぅう……」


激しい感情をあらわにする二人に挟まれ、


今これどういう状況……?


と、なんとも間の抜けたことを心の中で呟いてしまう。

両手をそれぞれに握られた状態なので、身動きが取れない。


ベッド、の上だなこれは。と背面に伝わる感覚と、胸までかかっている布団になんとか目線を動かす。


もしかしてあの時に寝落ちした?なるほど、これは夢なのか……。にしては、握られてる手の感覚も鼻に届く消毒液の匂いも、やけにリアルに感じる。


待て……消毒液?


そう思った瞬間、頭に強い痛みが走った。たまらずに顔をしかめると、二人が慌てる。


「傷が痛むのか?すぐ先生を呼んでこよう」


男性が握っていた手を優しく離し、部屋を急いで出る。


「ごめんなさいね、大きな声を出してしまって。本当に、本当に良かった……」


傍らに寄り添う女性が、申し訳なさそうに涙を浮かべたまま柔らかく笑い、握った手を両手で包み優しくさする。彼女のその慈しむ仕草が、状況は分からないがなんだか泣きそうになってしまう。


するとドアが開き、白衣を着た白髪が混じる黒髪を後ろにまとめた長身の男性が、先程までいた男性とともにひどく慌てた様子で入ってきた。


「お嬢さんっ……ちょっと失礼するよ」


そう言うと両手で顔を包み、左右の下まぶたを下げてじっと見つめながら、指示された方向を見るように言われてそれに従う。


「よし、問題ないようだね。頭が痛むようだけど……他に気になるところはあるかな?」


聞くなら今しかない。そう思い、乾ききった喉に唾を飲み込む。


「あの……ここどこですか?」










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