第04話 そして歯車は回りだす
その後、屋上が荒れ果て学校中の窓ガラスが割れていた件には警察が出動し、しまいには不可解な事件としてニュースに取り上げられるまでの騒ぎとなったが、1ヶ月も経つと事件について噂する人間は見なくなった。
そんな今の時期は6月の下旬に差し掛かろうとしている頃。
あれ以来、魔王こと
彼女はすっかりクラスの中心的なポジションに居座り、人気者として日常へ溶け込んでいた。
「この前の体育の授業、
「特に習っていた訳ではないな。単純に運動神経が良いだけさ」
違うクラスメートが声を上げる。
「凄い!
「ふふ…ありがとう。でも私にだって欠点はいくつかある。たとえば、辛いものが苦手だったりね」
「あははは!
ああして楽しそうに談笑しているが、
前世で
流石に
前世のように好き勝手はさせられない。
「
と、ここで
「ふぇ…? な、なんだ
「なにって…前から気になってたけど
「そ…そうか? そんなことないと思うが……」
「嘘だよ。もしかして
「えっ…それは……」
確かに
主に前世での話にはなるのだが……。
「ほら、やっぱり。いったい何されたの?」
「だ、大丈夫だ!
流石に「実はオレには前世があってさ…」などとは切り出せない。
完璧に痛い奴である。
「……。……」
ジッと目を見つめて来る
「ごめん
「……。……」
無言で見つめ続けてくる
「はぁ……今みたいな
そう言われた
「ああ! 分かった! ありがとう
「全くもう……約束だからね?」
つられて
★
放課後。
いつも通り部室へ向かう
するとそこには靴の上に置かれている白い封筒。
「凄いデジャヴだ…まさか奴じゃないだろうな?」
するとそこには、やはりと言って良いか印刷と見紛う達筆な文字で、『放課後、体育館裏で待ちます』と簡素に書かれていた。
「あの野郎…。今度はいったい何を企んでやがる…」
また学校中の窓ガラスを割られては堪らないので、今度ばかりは話し合いの意思を見せようと
それに学校中の窓ガラスが割れてしまった件については、自分にも責任の一端があると
何の用があるかは知らないが、なるべく
体育館裏とは校舎と体育館の間に出来た閉鎖的な空間の事である。
彼女は胸の下で腕を組み体育館の壁へ背を預け目を閉じている。
厨二臭い格好ではあるが、彼女のプロポーションでそれをやられると絵になっていた。
「オマエ…今度はいったい何の用なんだよ…」
それに対して
「
よく分からない事を呟く
それに
下の名前でサラッと呼ぶな気色悪い…!!
「あ? オマエ何いってんだ。呼び出したのはオマエだろ?」
「ん…? あぁ…私も呼び出された側だ」
そう言って
するとそこには
構図なども同じで、まるでコピーしたようである。
「な、何いってんだよ。この字ってオマエのだろ?」
その様子をチラッと見た
「よく見ろ。それは印刷された文字だ」
言われた通り
「ホントだ…。印刷されてる…」
だとすれば一体誰がオレとコイツを…。
「ふん…完璧すぎる文字と言うものも罪か…」
彼女の整った顔はドヤ顔でさえも絵になっていた。
それを見た
「オマエは存在自体が罪だから安心しろよ魔王」
「そう目くじらを立てるな
な…コイツは大陸で何百万人の命が犠牲になったのかを知っているのか!?
この…人間の皮を被った化け物め…!
耀の胸の内からフツフツと怒りが湧いてくる。
「おま…こ、この…」
プルプルと震える
「少しからかっただけだろう? 面白い奴め。しかし…戯れもそろそろ中断しなくてはな…」
そう言って
「どうやら私達を招待したホストがお出ましのようだ」
「クソ…胸糞悪い奴だオマエは」
人影は
癖っ毛のあるショートボブに隈のある目元。
眉根は神経質そうに歪んでいる。
見るからに面倒臭そうなタイプであると
やがて、
「1ヶ月前にこの学校を荒らした犯人は貴方達ですね!!」
そう言われた
な、なんでそのことを…いや、実行犯は隣に居るコイツだけなのだが問題はそこじゃない。
まさか目撃されていたのか…!?
少女が言う1ヶ月前の出来事とは、屋上で
あれのせいで学校中の窓ガラスが割れて、警察が来る騒ぎにまでなったのだ。
問題はどうしてこの少女はその事件の中心人物が
「さぁ…なんのことやら…」
どうしてオマエは何かを知ってそうな悪役風に
B級映画か!!
「ああ…
しかし少女は予想通りとばかりに強気の姿勢で糾弾を続けた。
「
魔力…そのことを知っているなんて何者だ?
前世の関係者か…あるいは別の存在か…。
それに魔力に証拠なんて物が残るのか?
魔力とは物理的な存在ではない。
クツクツと伏せた顔に左手を添えて笑う
厨二くさい。
「な、何がおかしいんですか!? どうやら事の重大さが分かっていないようですね…!!」
「いや…愉快でな。なかなかどうして…現世も捨てたものではない」
「い、一体なにを…」
少女は不気味なものを見る目で半歩だけ後ずさっだが、瞳に力を戻して踏みとどまる。
「なにを言いたいんですか…!!」
「ククク…いや、私達が犯人だが?」
顔を上げた
そう…
「……今日は両名共に私の家へ来てもらいます!! 拒否権はありません!!」
少女は
オマエ…絶対に後で覚えておけよ。
大変なことになったら呪ってやる。
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