エピローグ

「はいはい、お熱いことですこと……」

ちょうど野原を見渡せる大きな木の上から、俺はダンとサリーの様子を見ていた。

「あなたってば本当にこれでよかったの?ダンが夢を話しをした時から色々ごまかすことはできたでしょ? 」

 隣でカレンがキーキー言っている。

「まぁ俺はお人好しだからね、仕方がない。それに……」

「それに何よ? 」

「俺、サリーのことも好きなんだよね」

「あら色男。そんなこと言ってるから本命に逃げられるのよ」

 カレンの口調はいつもよりもだいぶ強い。

「そうじゃねーよ。あいつら、2人でいる時が一番幸せそうな顔をするんだよ……悔しいけど俺と一緒にいる時、ダンはあんな顔見せないんだ。……悲しいはずなのにさ。俺はあいつらの幸せそうな笑顔を見るのが好きなんだよ、きっと」

 それを聞いてカレンは深くため息をついた。

「全く、そんなんじゃあなた、いつまで経っても自分の幸せなんて掴めないじゃない!好意を寄せている男がいつまでも不幸な顔ぶら下げているのを見るこっちの身にもなりなさいよ! 」

「それもそうだな……俺もいつまでも、あいつに執着している場合じゃないか。いいかげん新しい楽しみを見つけるとするよ」

「……あなたのその傷を癒してあげられるのが私じゃなくて残念だわ」

 彼女は悲しそうな顔をした。

「気持ちだけはありがたく受け取っておくよ。君は僕の大事な友人だ。この墓地で君に出会えて、神様には感謝しているよ」

「……っもう!!ほんとそういうところよ! 」

 そう言って彼女は俺の右肩を平手でバシっと殴った。

「さて。俺らのお節介も終わったんだ。ぼちぼち帰るとするか」

 月明かりに照らされ、僅かに艶めく原っぱに座り、星空を眺める2人を横目に、俺は帰路についた。

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ゴーストは過去の記憶の夢を見る 旦開野 @asaakeno73

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