嘘
ダンとサリーの後ろ姿を見つめ、俺は深いため息をつく。
「なんだか最近ため息が多いわね」
それに気がついたカレンが言う。
「そうかな。俺は他のゴーストたちと違って色々考えているからね。ため息も出ちゃうよ」
「……どうしてそうやって自分のことを殺しちゃうのよ」
彼女が言いたいことはわかっていた。しかし俺は誤魔化した。
「……なんのことかな? 」
「夢の場所のことだって本当のこと言うことなかったのに。あなただったらいくらでも誤魔化せたでしょう? 」
「それじゃまるで、俺が彼に記憶を取り戻してほしくないみたいじゃないか」
「実際、思い出してほしくないでしょ? 」
「そんなこと……ないさ」
「嘘つき」
カレンは相手のことをよく見ている。彼女に対して嘘をつくと言うのは俺ですらなかなかに至難の業だ。
「本当あなたってお人好しというかなんというか……」
俺のやっていることはお人好しなのだろうか。ただただあいつに、ダンに嫌われたくないというだけな気もしている。
「まぁいいわ。なんだかんだいつものことだものね。あなたが納得するようにやりなさいよ」
彼女はいいたいことを言い終えると、サリーが置いていった野いちごを一つ、口の中に放り込んだ。
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