ティムからの助言
「花が綺麗な野原だって? 」
真っ黒な雲に覆われていて、月も星すらも見えない。今日はいつも以上に真っ暗な夜だ。僕らはいつもの墓石に腰掛ける。今日のつまみはサリーがうちの近くで見つけた野いちごだ。彼女は僕の隣で野いちごを食べながら僕とティムの話を聞いている。
僕が夢の中で見た野原の場所を知りたい、とティムに問いかけたところ、想像よりも大きな声でティムが返事した。
「そんなざっくりしたヒントだけで場所を特定できるわけないだろ?俺はお前らよりも色々知っているかもしれないが、それでも、探偵じゃないんだ。いや、たとえ名探偵だったとしてもその情報だけで場所を特定できるはずがねえよ」
「そうね……いくらティムが有能だからって、それは無理な話じゃない?ダンちゃん」
話の途中、面白そうねとやってきたカレンが茶々を入れる。
「そうだよね……わかってる、わかってはいるんだ。でも探し出すにはあまりにもヒントが少なくてさ。だってその場所がこの辺りとも限らないだろ?僕の生まれ故郷はもっとずっと遠い場所でかもしれない。そうしたら探す方向くらい特定できたらと思ったんだけど……」
「……」
僕がそこまで言うと、ティムは顎に手を当てて何やら考え込んだ。そしてため息を一つつくと、彼は再び口を開いた。
「……ここら辺を彷徨っているゴーストたちはみんなスート村に住んでいた奴らだ」
「え? 」
何を言われたのか一瞬理解ができなかった僕は思わず聞き返してしまった」
「ゴーストっていうのはそんなに遠くまで行けるようにはなってない。そもそも、お前いつも寝ている墓があるだろう?この村に住んでいるやつじゃなければ、ここの墓地に埋められないんだよ」
「じゃあ、僕が夢に見る場所はこの辺にあるってこと? 」
「そういうことだ。この辺りだったらウロウロしていればそのうちお前の探している目的地も見つかるはずだよ」
「すごい!ティムったら天才! 」
口いっぱいに含んでいた野いちごを飲み込んでサリーが言う。彼女も言葉には嘘偽りがない。彼女は言葉を終えてもなお、ティムを尊敬の眼差しで見つめていた。
「そうと分かればこの辺りを探してみましょう!私たちは元々スート村に住んでいたんだからまずは人の住む集落へ向かいましょう! 」
彼女は言葉をいい終わるか終わらないかのうち僕の手を引っ張った。
「ちょっ、待ってよ……! 」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます