「アラン、いつも美味しいご飯をありがとう」

　ビアンカがベッドに座り、アランを抱きしめながらそう言うと、アランは恥ずかしそうに「どういたしまして」と、消えいるような声で呟きました。

「ふふ。アランの声は相変わらず可愛いわね」

「そ、そんなことないですよ……」

「そんなことあるわ。可愛い。あなたは可愛いわ。アラン」

　アランの髪を愛おしそうに撫でながら、ビアンカは彼女に囁きます。アランはビアンカの肩に頭を埋め「うー」と唸りました。

「ふふ。もう付き合って一年も経つのに、まだ恥ずかしいの？」

「慣れないです……ドキドキします……」

「ふふふ。可愛い」

「うぅ……」

「可愛い。アラン」

「も、もう良いです。そんなに言わなくても分かっ——」

　アランが顔を上げた瞬間、ビアンカは隙ありと言わんばかりに彼女の唇を奪います。アランは動揺し、再びビアンカの肩に頭を埋めて「うー！」と唸りながら彼女をぽこぽこと叩きました。

「ふふふ。ごめんなさい。可愛くてつい」

「ずるい……」

「ふふ。顔上げて」

「キ、キスされるので、嫌です」

「したくない？」

「……恥ずかしいから」

「ふふ。もー。本当にあなたって可愛い人ね。良いわ。あなたが嫌ならしない」

　そう言って、ビアンカはアランを抱いたままベッドに横になりました。

　優しく頭を撫でられているうちに、アランはうとうととし、やがて眠りに落ちました。それを確認したビアンカは彼女のつむじにキスをして「おやすみ。良い夢を」と囁いて電気を消し、彼女を抱き枕代わりにして眠りにつきました。

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