#28 八木が勝利した
八木から目を逸らして、自分の手元を見ながら話し始めた。
『八木、俺は八木のこと、とても魅力のある女の子だと思うよ。 破天荒でいつも予想外のことばかりして、八木ほど自分に正直に行動出来る人間、他には居なくて見てて飽きないし面白いし。まぁウザくて人前でも恥ずかしいことばっかしてすっごく迷惑だけどな』
『でも、八木が大人しいと面白くないし、また体調悪いのかな?って心配になるし、それにもし八木が居なくなったら、俺、寂しいと思う』
『たぶん、元カノにフラれた時よりも寂しくなると思う』
そこまで話して、今度は顔を上げて、八木を見つめながら話しを続けた。
八木はクチをポカンと開けたまま固まっていた。
『今だって、ホントはめちゃくちゃドキドキしてる。 八木が可愛くてドキドキしてる。 八木のこと抱きしめたくて、自分でもどうしていいのか分からなくて・・・』
『八木の色仕掛け、大成功だよ・・・』
「あ、あの・・・栗山くん?」
『八木のこと、好きか?って聞かれると、正直言ってよく分からない・・・でも、一緒に居たいか?って聞かれたら、一緒に居て欲しいって答えられる』
「ほ、ホントですか!?」
『うん。電車の中で大騒ぎされるのは凄く嫌だけど、でも、それでも一緒に居たい、かな』
八木は、俺から目を逸らさずに、信じられないものでも見るような顔をしていた。
『そもそも、一緒に居たくなかったら、毎週ウチに泊めたりしないし』
今、俺から言えることは全部話せたと思う。
コレが自分の正直な気持ちだと思う。
話し終えて、少しだけドキドキしてた気持ちが治まってホッとした途端、八木が俺に飛び掛かって来た。
ガッチリ抱きしめられ
「うあぁ~~~ん ぐりやまぐ~~~ん! うあぁ~~ん」
『どうしたどうした?』
「わだじもいっしょにいだい~~」
『うんうん、これからも仲良くしような』
「うああぁぁぁぁん、だいずぎぃ~~」
『そっかそっか、ありがとうな』
えぐえぐ泣いてる八木を抱きしめ返し、落ち着くまで背中をさすってあげた。
八木が落ち着いてきたので、再び話しかけた。
『とりあえず八木、今日は大人しく寝よう。 エッチは俺たちにはまだ早い』
「わかった・・・」
『よし、なら服着て寝るぞ』
「それは、ヤダ」
『なんでだよ』
「素肌のがあったかいから」
『・・・・じゃぁ、八木だけ裸のまま寝ろ。 俺は服着る!』
「エェー! それ酷くないですか!? さっきまで栗山くん史上最高に優しかったのに! 急に冷たくなってますよ! さっきまで、すぅぅぅぅぅっごく感動してたのに!」
喚く八木を無理矢理引き剥がして、服着て『トイレ行ってくるから、服着ろよ』と言い残し、トイレ行って一発抜いた。
もう、限界だったんだよ・・・
しっかり賢者になってから部屋に戻ると八木はちゃんと寝間着代わりの中学ジャージを着ていた。
床に敷いた方の布団の上で女の子座りしてたので、俺がベッドの方へ入ると八木もベッドの方へ入ってきた。
八木の方に体を向けると「えへへへ」と嬉しそうな顔をしてたので『おやすみ』と言って目を瞑った。
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