#26 八木が勝負下着で勝負に出た




「そう、ソコですソコです! はぁ~ん♡気持ちいい~♪ 流石栗山くん♡ お上手ですね♡」


『そうか? ココだな?ココが気持ちいいんだな? もう少し力入れるぞ』


「そうです、ソコです♡ はぁ~って、イデデデデデデデ! 痛い痛い!痛いです!」


『大丈夫だ。痛いのは最初だけだ。 慣れればまた気持ちよくなるぞ?』


「痛い痛い! 無理無理! これ以上は無理です!」




 今日は土曜日

 最近恒例になっている、八木が栗山家にお泊りの日だ。


 そして今八木は、俺のベッドで痛みに耐えながら身を悶えさせ、顔を苦痛に歪ませている。


『痛みに耐える顔も可愛いな、八木は』と甘い言葉を投げかける。


「はぅ♡・・・・イデデデデデ!」

 テレたと思ったら、また直ぐ痛みを訴えだした。



 因みにだ、別に八木と二人で自室に引きこもって如何わしいことをしている訳ではない。


 八木の弱点を掴んだ俺はお風呂上りに

『八木にはお世話になってるからな、日頃の感謝を込めてマッサージをしてあげよう』と足裏のマッサージをしているところだ。


 ふ、バカめ

 今日は八木の思い通りにはさせないぜ


 30分ほど甘い言葉攻撃と足裏マッサージを続けると、足裏も解れてきて痛みが無くなったのか、八木は静かに寝息を立て始めた。



 よし

 寝たな

 ベッドを占領されたままだが、まぁそれくらいどうってことない。


 寝ている八木に布団を掛けて、部屋の電気を消してから俺は床に敷いた方の布団に入った。







 寝入ってからどれくらい経ったのだろうか

 布団の中にモゾモゾ入って来る存在のせいで、ハッと目が覚めた。


 外から入る街灯の薄明りでその存在を確認すると、八木だ。

 というか、八木しか居ないわけだが、何故か下着姿だ。


 八木は初めてお泊りして以降、俺の中学ジャージを毎回寝間着代わりに着るようになり、今夜も中学ジャージの格好でマッサージをしていた。


 部屋の照明を点けて問い質した。


『おい八木、何故下着なんだよ』


「んにゃむにゃ・・・」


『おいコラ、寝ぼけたフリしてもバレてるぞ?』


「・・・・チッ」


 八木の突然の下着姿を間近に見て、内心ドキドキしながらもそれを悟られないように、冷静に観察する。


 上下黒のお揃いだ

 前々から思ってたが、八木は結構胸大きいな

 ショーツの方はTバックだ

 気合入ってるな

 勝負下着か

 多分そうだろな

 なるほどなるほど、ラスボス第2形態のお出ましか


 俺が冷静に八木の下着姿を観察していると

「栗山くん わたしのこといっぱい気持ちよくしてくれるんですよね? わたしもいっぱい頑張りますよ?」


『いや、あれは売り言葉に買い言葉というか、八木を恥ずかしがらせて困らせようと言っただけで』


「へー、女の子にあんなに恥ずかしい思いさせて、逃げるんですか。 へー」


 ぐぬぬぬ


 正直に言おう

 今の俺は、必死に冷静を装っているが理性崩壊待った無しだ

 美少女八木が下着姿で布団に入ってきて、体くっつくくらいの距離。

 八木の体温や吐息を感じて、俺のアドレナリンもビンビン沸き立ってしまう。


 完全に八木の攻勢に押されてしまっている。


 このまま俺が降参すればどうなるんだろうか?


 八木の正式な彼氏になるのか?

 それとも、既成事実を盾に、結婚を迫られるのだろうか。


 いや、それはダメだ!

 もしそんなことになったら、どれほどの不幸に巻き込まれることになるのやら、想像するだけでも恐ろしい




 そうだ

 確かコンドームは買ってなかったはずだ

 サイズ確認するとか言ってたし


『八木、認めたくはないがお前の下着姿はとても魅力的だ。 実際に俺は今必死に性欲と理性とで戦っている。 このまま八木と大人の階段を登ってもいいのではないか、とな』

『だがな、肝心なことを忘れていた。 避妊具が無いだろう。 残念だが今夜は諦めるしかないな。 だからさっさと寝ようか』


 すると八木は突然、マクラの下に手を突っ込んだかと思うと直ぐに引っこ抜いて、俺の目の前に何かを掲げた。


 あ、コイツ、コンドーム持ってやがった!

 この展開予想してマクラの下に仕込んでやがったな!?


「ふっふっふっ、甘いですよ栗山くん。 もう逃げられませんよ! さぁ栗山くんも脱いで!さぁ早く脱いで!」


 ぐぬぬぬ


 もはや絶体絶命・・・

 俺はこのまま八木と致して、八木が八木じゃなくなり、栗山カンナ略してクリカンになるのを黙って見てるしかできないのか!?







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