#05 顔は可愛い八木




 二人で並んで歩き3組の前を通ると


「弁当箱置いてくるので、少し待っててください! 先に行ったらダメですよ!」


 と言って、八木カンナは教室に入って行った。



 ココは敢えて先に行けっていう前振りか?と一瞬頭をよぎったけど、また凹まれると面倒そうなので、素直に待った。


 1分もしない内に戻ってきて

「お待たせしました」


 前振りじゃなかったみたい

 八木カンナ、ニコニコしてる。


 確かにこの子、顔は可愛いな

 この子と一緒に居ると、周りの人もチラチラ見てきてるようだし、桑原が言ってた「凄いモテる」っていうのは本当なんだろうな


 そんな事考えながら、八木カンナが話しかけてくるのに相槌打ってた。





 自販機のとこに到着すると、僕は迷わずコーヒー牛乳を買った。


「栗山くん、いつもコーヒー牛乳なんですか?」


『うん、美味しいよ』


「じゃぁ、わたしも」



 自販機から少し離れたところで、二人でパックのコーヒー牛乳をチュウチュウ飲みながら立ち話をしていると、八木カンナが声をかけられた。


「カンナもジュース買いに来たのか?」


 今朝、八木カンナと一緒に居た男子だ。

 名前は桑原から聞いたけど、忘れた。


「う、うん・・・」


 八木カンナは一言返事をしただけで、再び僕に話しかけてきた。


「栗山くん、今日もアルバイトなんですか?」


『今日は無いよ。真っ直ぐ家に帰るだけ』


「そうなんですかー。 栗山くんも電車通学ですよね?」


『うん、そうだよ』


 八木カンナに話しかけてきてた男子は離れようとせず、でも会話にも入ることなく、僕と八木カンナを交互にチラチラ見てきた。


 なんだこの状況・・・


 八木カンナもそいつの事が気になるのか

「栗山くん、教室にもどりませんか?」


『そうだね、戻ろうか』


 そう言って、残りのコーヒー牛乳を一気に飲んで、パックをゴミ箱に捨てた。


 二人で並んで歩き出すと、今度はその男は付いて来なかった。



 教室に向かって歩いていると


「すみません・・・さっきの男子、近所に住んでる昔からの知り合いで・・・」


『あー、なんか桑原から少し聞いた』


「そうでしたか・・・あ、でも! 付き合ってるとか噂されたことありますが、そういうのじゃないですからね!」


『うん、それも聞いた。 なんか面倒そうだね』


「はい・・・面倒です・・・」


 そんな会話をしてて3組の前を通ると、八木カンナは3組に戻らず僕の後を付いてきた。



 え? まだお喋り続くの?

 少しでも昼寝したいんだけどな・・・



 結局八木カンナは僕の席まで付いて来て、弁当食べてた時みたいにイスに座って、予冷が鳴るまでお喋りを続けた。


 八木カンナとは、普通に話せる様になってきてたけど、やっぱりメンドクサイナと思った。




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