#06 八木って人気者?





 5時間目の後の休憩時間は八木カンナは来なかった。

 お昼に一杯おしゃべりしたから、満足してくれたんだろう。


 でも代わりに桑原がやってきて、うっとおしかった。



「カンナちゃんと楽しそうだったじゃん!」


『いや、あからさまに面倒臭そうな顔、出来る訳ないでしょ』


「またそんな事言って。 でもカンナちゃん、良い子だったでしょ?」


『まぁそうだね。悪い子じゃないし、礼儀正しい子だったね。 しつこい子だとは思うけど』


「そうそれ! カンナちゃんが自分から男子にグイグイ行くの、初めてみたんだけど!」


『へー、俺じゃなくて、他にグイグイ行ってほしいな。 ていうか、桑原って八木さんと仲良いの? 色々知ってるし、ちょこちょこ話してるみたいだし』


「あー、去年一緒のクラスだったの。 特別仲良しって訳じゃないけど、普通に話しはするよ」

「なになに?色々聞きたくなった? カンナちゃんのこと興味出てきた???」


 うぜー


『別に。知りたいことあったら本人に聞くし』


「えー、色々教えてあげるのに~」


 マジでうざくなったので、アッチ行けシッシッって追い払った。







 HRが終わり放課後帰る準備をしていると、八木カンナが廊下から顔を覗かせて


「栗山くん、一緒に帰りませんか?」


 あー・・・

 お昼の会話から、そんなこと言い出す気がしてた。


 でも、今日は真っ直ぐ家に帰るだけって言っちゃったし、断れないんだよな

 すっごい追い込まれてる気がする・・・


『えーっと、駅までで良いなら』


「はい!駅までで!」


 はぁ

 テンション高いな



 二人で並んで下駄箱まで歩いた。

 帰り時間なので廊下には人が沢山居て、あからさまにジロジロ見てくる人がいっぱい居て、既にうんざりし始めてた。



 校門出て歩いていると、先日八木カンナが体調崩してダウンしてた場所に来ていた。


『そういえばこの間ここでダウンしてたの、風邪でも引いてたの?』


「風邪では無かったんですけど、たまにあるんです。急に熱出してダウンしちゃうの」


『へぇー、大変そうだね』


「ええ、体強く無くて、昔からちょくちょくあるんです」

「でも、お蔭で栗山くんとお友達になれたから、今回はラッキーでした」


『いや、八木さんなら僕なんかよりも誰とでも仲良くなれるでしょ』


「そ、そんなことないですよ!」


『でも桑原が言ってたよ、カンナちゃん凄いモテるんだよ!って』


「う・・・そんなことないですよ・・・」


『いやいや、八木さんほど可愛ければ、男だったらみんな仲良くしたいと思ってるでしょ』


 あれ? 僕はなに言ってるんだ?

 これじゃぁまるで、僕が仲良くしたいみたいじゃん 


『あ、今の気にしないで・・・思わずクチが滑っただけだから』


「あ、はい・・・・」


 ハハハ

 超気まずくなっちゃった



 まぁ、これで少しは大人しくしてくれればいっか


 でも、そんな考えは、まだ甘かった。

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