#02 物臭




 放課後のバイトを終えて事務室でスマホを見ると、八木カンナからメールが3通届いていた。


 これ、ずっと続けないといけないのか?


 めんどくさくて、メールは開かずそのまま放置した。







 翌朝、駅から学校へ向かって歩いていると、八木カンナを見かけた。

 隣には同じ制服の男子が居て、二人で会話しているようだった。



 気付かれるとめんどうそうだったので、距離を開けて歩いた。





 学校へ到着して、下駄箱で上履きに履き替えていると、八木カンナとバッチリ目が合ってしまった。待ち構えていたようだ。


「あ、あの! 昨日メール送ったんですが、迷惑でした・・・?」


 あちゃー

 困ったな・・・


『メール気が付いたのがバイト終わった後で、クタクタに疲れてたのでチェックせずにそのままにしてました。ごめんなさい』


「そ、そうだったんですか・・・」


 めちゃくちゃ凹んだ顔してる・・・


『あとでチェックします。ごめんなさい・・・』


「カンナ? だれ?知り合い?」

 来るとき八木カンナと一緒に居た男子が声掛けてきた。


「あ、ううん。何でもないよ」

「それじゃぁね、栗山くん」


 そう言って、八木カンナとその男子は歩いて行った。

 男子は僕の方をチラチラ見ている様で、なんかイラっと来た。





 教室に行くと、桑原が寄ってきて

「ねね、あれからカンナちゃんとどう?」


『どうって、何が?』


「メールでやり取りしてるんでしょ?」


 こいつもめんどくせーな


『してない。何通か来てて面倒だからスルーしたら、さっき下駄箱で捕まって問い詰められた』


「はぁ!? スルーしたの!?」


『しょうがないじゃん、バイト中に来てたみたいで、気が付いた時にはもうメンドクサイとしか思えなかったんだから』


 僕がそう言うと、桑原は思いっきり溜息を吐いて、自分の席に戻って行った。




 席に座ると、約束通りスマホのメールをチェックした。


(こんばんは。LINEやってないの珍しいですね。 何か理由でもあるんですか? それとメールだけじゃなくて、教室におしゃべりしに行ってもいいですか?)


(そうだ! 明日のお昼ご飯、一緒に食べませんか? 良かったら栗山さんのクラスに行きます)


(やっぱり、メールも迷惑ですか? 出来れば返事欲しいです)


 質問ばっかだな

 やっぱりメンドクサイや




 仕方ないのでまとめて返事をした。


(LINEは相手するのが面倒だからやってません。 おしゃべりは、多分僕と喋ってても退屈ですよ。 お昼ご飯はお任せします。 メールはほどほどで良ければ)


 ホントは、メールも面倒だって書きたかったけど、さっきの凹んだ顔見てしまったせいで書けなかった。






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