第7話王室の掟

私が罪人への労りの言葉を掛けやや時間ご経った。


重い口を開きガーディール王は言った。


「ルファーナ。例えバカ息子で合ってもアイツはわしのたった1人の息子なのだ。」



やはりか…所詮王も人の親だろう。


「しかしな…。」


ガーディール王は私を真っ直ぐ見つめる。


「わしにとってはルファーナも大切な一人娘なんじゃ。」


王の言葉は本当だった。


しかし元婚約者の親…最早赤の他人に

そんなこと言われると不思議と嬉しく

思った。


「よって今回は証拠虚偽などの罪でカーティスと偽聖女ミーエナを国外追放とす!」


王はそう宣言した。


ありがとうございます。私は静かに頭を下げた。


シャードルが「ルファーナは甘すぎる…」と呟いた。


私はすぐ死ぬより苦しんで生きて欲しいわ。


それもそうだな。シャードルは嬉しそうにいった。


「ルファーナ」


王に名を呼ばれたので私は顔を上げた。


シャードルは契約の印章にいるから

王からは見えない。


「血の聖女が産まれた時代の掟を知っているか。」王は私に問いかけてきた。


…やはりあったのか。


「…検討はついております。」


ガーディール王は王座の椅子に腰をかけ直して一息ついて言った。


「やはり帝国一聡明だと謳われた者じゃ。」


真っ直ぐ伸び綺麗に手入れされた髭を弄りながら王は続けた。


「血の聖女が現れた日はいつの世も変わらず世界が混沌してる時だ。何故か分かるか。ルファーナよ。」


そんなこと分かりきっている。


「はい。その壊れかけた世界の秩序を正す。役目を担っているのが血の聖女だからです。」




…平和解決ではなく恐慌政治だが。



「流石だ。ルファーナ。ではその血の聖女は何処に在るべき存在だと思うか。」



…何処に在るべきか?それは歴史上の話だろうか。それならば戦場に決まっている。血の聖女は聖女は名ばかりで実際は戦乙女なのだから。



それとも…いや間違いなくそうだ。




「…血の聖女は王座に在るべき存在です。」




もし本当に王座につく資格があるとして


悪女の私は良き王になれるのだろうか。



…まぁ私の願いを叶える為には必要なことだが

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