第6話王の器
私の16歳の誕生日パーティーと
血の聖女の訪れを祝う宴は朝まで続いた。
今日は玉座の間を訪れる予定だ。
…本来は次期皇后として伺う予定だったが今は血の聖女として伺うことになった。
アホ殿下があんなことしなければ
私自身には彼に興味が無かったから
ミーエナを側室でもなんでも迎えて良かったのに…。
推測するにミーエナが次期皇后でないと嫌だったのだろう。まさか偽の血の聖女になるなんてアホ殿下が思い浮かぶわけないもの。
本当に馬鹿なことをしたのね。
それに私が血の聖女じゃなくても
簡単に2人を潰せるのに…
なるほどね。
欲は己を食らうってこうゆうことなのね…
「ふふっ」
「聖女様。どうされたのですか?」
へエスコートしてくれてる近衛兵が優しく訊いてきた。
「いいえ、何でもないのよ。」
「そうですか。聖女様。玉座の間はもうすぐ着きますよ。」
昨日のパーティーでの騒動を見ても
変わらず接してくれる近衛兵は流石だ。
ただ1つ聖女様と呼ばれるのを除いて。
無駄に大きく洗練された彫刻が彫られた
扉が開いた。
「御足労だった。…血の聖女よ。」
私は深々と頭を下げ言った。
「お久しぶりでございます。国王陛下。
国王陛下の勅令により血の聖女。ここに参りました。」
カルトスカーレット王国の現国王ガーディール王はアホ殿下の実父だとは
思えない程、聡明で強き王だ。
私は本当に我が王を尊敬している。
これは決して嘘ではない。
私が挨拶をし終わると
ガーディール王は高らかと笑った。
そして顔を顰めて私に言った。
「そんなに畏まらんでくれ。わしは血の聖女、いや…ルファーナに謝らなければいけない。この度は本当にバカ息子がルファーナに迷惑を掛けた。全てあの2人が計画企てたことだった。」
それはそうだろう。偽聖女に関しては
昨日初めて会ったのだから。
しかしやはり我が王は強い心の方だ。
なかなか国の長が下の者に謝れる国はない。ましてあのバカ2人の為になんて。
私が血の聖女ではなくても我が王は
同じ謝罪をしただろうと思う。
「お優しきお言葉ありがとうございます。しかしながら私には実際、あのパーティーでのトラブルでしか有りませんわ。ですからあの2人も情状酌量の余地を…」
深々と頭を下げながら我が王は
自分の息子と偽聖女をどう罰するのだろうと考えてみる…。
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