第17話 大きな賭け
スライム破裂ゲームでそこそこの金額を稼いだ俺たちは、少しリッチな店で食事をしていた。
宿屋の家具とはまた違う、一つ一つ拘りぬいたデザインの椅子に深く腰掛けながら、俺たちは注文したステーキが来るのを待っていた。
「こんなに豪華なお店でご飯が食べられるなんて夢みたいです……」
「ほんとだね~! 京谷に感謝しなくっちゃ」
二人は両手にナイフとフォークを持ちながら、今か今かと注文した料理が来るのを待っている。
しかし俺は食事よりも次のギャンブルの事について考えていた。
まずは豪邸を買うと言ったが、恐らくまだまだ金が足りないだろう。
「飯もいいんだが、次のギャンブルに何かいいものはないか?」
「え~今はギャンブルの事よりご飯に集中しようよ~」
(こいつは目の前の事しか考えられないのか!)
俺の問いかけにカーヤは面倒くさそうに答えた。
確かに俺は、この世界に来て常にギャンブルの事を考えていた。
ここで少し息抜きするのもいいだろうと思った俺は、運ばれてきた熱々のステーキを無心に口の中へと運んだ。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「ふぅ、美味しかったな。さ、食事も済んだことだし次のギャンブルについて話し合おうか?」
俺は待ってましたと言わんばかりに切り出した。
これ以上断る理由もないカーヤはポーチから一枚の水色のチラシを取り出した。
「実はさ、店に入る前にこんなチラシを見つけたんだけど、どうかな?」
チラシを俺とリリアに見えるように渡してくると、そこには『リヴァイアサンの水上ロデオ』という文字の下に暴れ狂うドラゴンの絵が描かれていた。
その上には人間が乗っており、喰われかけている人の絵も描かれていた。
「おいおい物騒だなこりゃ」
「この人食べられそうです……」
リヴァイアサンの口の前に落ちている人の絵を指さしながら小さな声を漏らすリリア。
俺はその下に書かれている数字を見て小さく驚きの声を漏らした。
「そんなことよりもその下の数字見て数字!」
そう、そこには勝者10万ペリス進呈! とデカデカと書かれていたのだ。
今の所持金の10倍以上の額に、俺は興奮した。
「す、すげぇなこれ! こりゃやるっきゃないな!」
「で、でも死亡のリスク有りって書いてますよ!」
その下にとても小さく、注意書きで『死亡しても大丈夫な方』との記載があった。
「そんなやついないだろ……でも一発逆転の方法ではあるな」
「これどうかな~と思ってチラシ取っといたんだ~」
得意げに話すカーヤだったが、こいつは確実にこの注意書きを読んでいないだろう。
だが、手っ取り早く稼ぎたかった俺はこのギャンブルに参加したいと思っていた。
「俺はこのギャンブルにチャレンジしてもいいと思う。皆はどうだ」
さすがに命の危険のあるギャンブルだ。
嫌だという仲間を無理やりチャレンジさせるわけにはいかないと思った俺は二人に確認を取った。
「あたしはいいわよ! 華麗に乗りこなしてリヴァイアサンの上でダンスでも踊ってあげるわ!」
「私は京谷さんの行く道へ着いていきます」
楽観的に答えるカーヤと覚悟を決めたリリアの答えに安心すると、俺はお会計ために店員を呼び2000ぺリスを支払い席を立った。
「ありがとう。じゃあ会場へ向かうか!」
店の外に出るとまだ日は真上にあった。
少し暑さを感じる程度の気温に服をなびかせながら俺たちは会場へと向かった。
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