第5話 なんだか羨ましがられてる?! 何で?!
なんだか三人で会話している声がする。僕はその声で目が覚めた。
なんだか体がベトベトしている気がするけど、何でだっけ?
「甘噛みのつもりでも、突然ペロッと食べられたらビックリするでしょうが!」
「私、あの瞬間心臓が止まるかと思いましたよ」
声の主を見ると、副隊長とマーリンとドラゴンが会話、というより言い合いをしている。
「グルルルル…」
なんだかドラゴンがうなだれている感じだった。
僕は起き上がって皆の所に寄っていくと、
「お! 起きたか…まあ生きててなによりだが、ヨダレでかなりベトベトだな」
僕の状態を見て副隊長が言った。肩に小型のドラゴンを乗せている。サラマンダーを介して会話しているのだと説明された。
「とりあえず無事みたいですね」
マーリンもホッとした表情で僕に言った。心配してくれていたのかな?
「グルル…」
ドラゴンが僕を見ている。少し心配げな表情、という表現でいいのか分からないけど多分そういう顔をしていた。
「まずベトベトしたのを落とさないとな。それから隊員服と作業着を用意しておくか」
副隊長はまた小さめの板を取り出してどこかと会話する。そういうアイテムなのかな?
「もしもし? 新人に隊員服と作業着を手配するからシャワールームと更衣室に案内してあげて。いや私が男子用更衣室に入れる訳ないでしょ!」
会話が終わってから僕に、
「外に案内役呼んだから着替える場所で用意した服に着替えて。そしたら部隊の皆にも紹介するから」
言われた通り廊下に出ると、今朝会った男性が待っていた。手には服の入った袋を持っている。
「朝に会った奴か…モンスターに随分手荒な歓迎を受けたみたいだな」
案内してもらってシャワーで体を洗った。昨日お湯の使い方を教えてもらってたからなんとか利用出来た。
新しく用意してもらった下着と隊員服を着てみた。
「…これ、どうやって止めるんですか?」
「ファスナーが付いている服を着た事が無いのか。ここをこうやって着るんだよ」
ボタンの付いている服しか着た事が無かったから、教えてもらいながらなんとか着替え終わった。意外と親切な人みたいで良かった。
「じゃあ第2部隊の皆に紹介に行くか」
そう言われてその人に付いていく僕。いきもの係の手前の部屋に入ると、大勢の男性が待ち構えていた。
「副隊長が言っていた新人だ」
「よ、よろしくお願いします!」
皆、一同に僕を見ている。なんだか睨まれているような気が…。
「「「…羨ましい」」」
「女子に囲まれて仕事…いいなあ」
「一体どんな徳を積めばそんなラッキーな職業に就けるんだ?!」
「代われるもんなら代わりたいー!!」
…何で羨ましがられるのかその時僕は分からなかった。後から聞いたんだけど、第2部隊はいきもの係以外は事務の数人だけが女性で、ほとんど男性だから女性と接する機会が少ないんだって。
「いきもの係の独身鬼娘達と合コンさせてくれ! なんとかセッティングしてくれー!」
って鬼達に約束させられたけど、合コンって何だろう?
平太に後で聞いてみよう。
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