4 夜会 ~ シーサイドパレス
第7幕
翌日、ヒラリー邸 夜会の前
ヒラリー
「えーと、レター、レター、レター」
「おーおあった、あった。午後7時、バラの花咲くテラスじゃったな」
「うひょひょひょひょ」
「おっと誰か来た」
(レターをポケットに入れる)
オヤッサン
「お邪魔します。ヒラリー様」
ヒラリー
「いらしゃい。さて、どちら様かな」
オヤッサン
「いえ、ちと昨日、奥様と阪急百貨店の前で知り合いまして、今日の夜会に呼ばれたドミノと申します」
「ちょっと前を失礼」(ヒラリーの前を通り、ポケットからレターを取る)
(モレル入場)
モレル
「きゃー、あなた、昨日の、どうしてここにいるの。あなた、早く追い出してください」
オヤッサン
「コンバンハ」
ヒラリー
「なんだお前の招待客ではないのか」
「さあ、帰った帰った。お前の来るところでない」
「まったく人騒がせな奴だ」
オヤッサン
「おっと、失礼しました」(退場)
モレル
「あなた、今日の夜会でちょっと紹介したい人がいるの。午後7時に鏡の間にいらしてくださいね」
ヒラリー
「午後7時!」「えっと確か7時には約束が・・・」
(ポケットに手を入れ)「あれ、ない、どこへいった?」
モレル
「どうかなさいまして」
ヒラリー
「いや、なんでもない。7時じゃな、7時」
「おっとそうじゃ、誰か来る予定だったと思うのだが・・」
バーバラ
「いえ、その時間にはみなさんお揃いですよ。パレス夫人も」
モレル
「あなた、よろしいですわね」
ヒラリー
「わかった。わかった。わかりましたよ」
「それにしても、おかしいな。どこへやってしまったか」?
第8幕
夜会・鏡の間
ロビン
「モレル夫人、お招きありがとうございます」
マリー
「こんにちは、モレル夫人」
モレル
「ようこそ、ロビンとマリー」
バーバラ
「昔はケンとメリー」「今はロビンとマリー」「わからないかな~」
モレル
「バーバラ、そんな古いこと言っても誰もわからないじゃない。愛のスカイラインなんて、誰も知らないわよ」
「ロビン、マリー、紹介するわ、主人のヒラリーです」
「あなた、ロビンとマリー、さっきあなたにお願いしたのは、マリーの歌を聞いてもらいたいのよ。つまり、オーディションを」
ヒラリー
「オーディションじゃと。夜会の席じゃぞ、皆さんもたくさんいらっしゃるのに」
モレル
「だからこそ余計にいいのよ。みなさんにも聞いてもらって」
ヒラリー
「いや、わしは反対じゃ、それにちと用事を思い出した」
ロビン
「そういえばヒラリー卿、先ほど、こんなものを拾いましたが、ここでご披露してもよろしいですか」
(胸のポケットから手紙を取り出す)
ヒラリー
「あ、それをどうして」
モレル
「あなた、どうかなさいまして」
ヒラリー
「いや、何でもない。あ、うーむ。」
「する、する、する。オーディション、する」「やってくれ」
(ステージ 歌の準備)
ロビン
「マリー落ち着いて。いつもの調子で」
「楽団のみなさん、よろしくお願いします」
(マリー オーケストラボックスから上がる)
マリー
スワニー河 熱唱 スポットライト
全員 拍手
ヒラリー
「見事だ。こんなすばらしい歌を聞いたことはない」
ビリー
「私も同感。ぜひ私のパートナーとしてお願いしたい」
モレル
「決まったわ、良かったわね、マリー。ようこそ、シーサイドへ」
マリー
「ありがとう、ありがとうございます。」「ロビン、ありがとう」
ロビン
「おめでとう。マリーならきっとシーサイドの星になるよ」
パレス夫人
「ヒラリー卿、私、今日はもう失礼するわ」
ヒラリー
「パ、パ、パレス夫人・・。」「トホホホホ」
第9幕
シーサイドパレス
(初日の舞台、大団円、レビュー ビリーとマリーのショー)
(ビリーの歌)
君の涙にうそはない
君の涙は俺の宝
どうしてそこまで愛してくれるのか
悪いのはこの俺なのに
君を泣かせる悪いやつ
もう泣かないで、もう離さない
幕前
ノッポ
「ブラボー!」
オヤッサン
「うむ、すばらしい」
インテリ
「マリー、おめでとう。よかった。とても良かったよ」
「これでよかったんだ。」
「オヤッサン、ノッポ。隣町まで俺もいっしょに乗せていってくれ」
オヤッサン
「インテリ、マリーはどうすんだい。まさか、おめえさん、このままさよならするつもりじゃ・・・。そうなんだな」
ノッポ
「それはないぜ。マリーの気持ちを考えてやれよ」
インテリ
「いや、マリーはもう大丈夫だ。ビリーがきっといいパートナーとして・・」
(マリーとビリー現る)
マリー
「ロビン、私を置いてどこへ行こうというの。どうして私の心をわかってくれないの。」
「私の夢はもう叶ったわ。今日の舞台に出られただけで十分なの、あとはロビン、
あなたとずっといっしょにいることが私の願いよ」
ビリー
「ちょっと失礼」
(ロビンの眼帯とマスクを取る)
「やっぱりそうか、コールマン」
マリー
「コールマン?」
ビリー
「コールマン、俺は君に謝らなければならないことがある。三年前の事故のとき、俺は君の足を引っ張ることばかり考えていた。その時、悪魔が俺の耳元でささやいた。コールマンを奈落に落とせと」
「それであんな失敗をした。許してくれ。俺はつまらない男だった。今、シーサイドのスターになって、よーくわかったよ。どれだけスターがたいへんな仕事かという事を」
「みんなの心を一つにして舞台を作る。スターの振る舞い一つ一つで、みんなが気持ちよく踊る原動力になる」
「コールマン、もう一度、舞台に上がってくれ。どっちがスターなど、もうそんなつまらない事は考えない。お客様に楽しんでいただける舞台を、みんなで力を合わせて作ろうじゃないか」
コールマン
「ありがとうビリー」
「マリー、もう離さないよ」(二人抱き合う)
ヘンリー
「できた」!
(幕があがり階段レヴュー全員)
(愛の歌と監獄ロックの二重唱)
ロック・ロック・カンゴクロック!俺達カンゴク仲間
インテリ・ノッポ・オヤッサン!
君をはじめて見た時から、俺の心はときめいた
君の澄んだ瞳の中に、君の心の美しさをみた
愛してもいいのかい。愛してもいいのかい
愛することを忘れていた この俺が
君を愛してもいいのかい
愛してほしい、愛してほしい、あなたはやさしい人
愛してほしい、愛してほしい、あなたの愛がほしい
どこで何したか知らねぇ
でも三日も同じ房にいりゃ、自然とわかる
カンゴク・ロック
俺たちゃカンゴク仲間
ロック・ロック・カンゴクロック!
(大団円)
了
監獄ロック ロビンとマリー 改訂版 tsutsumi21 @tsutsumi21
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