インターナル・ロック
長谷川からの電話に出ると、「銃砲店で立てこもり事件が発生。犯人はショーケースから盗んだ拳銃で武装、偶然居合わせた政治家の息子が人質に取られている」とだけ言われ、一方的に通話が終了した。
この雑な連絡で済む理由は、AFCU専用ネットワークの存在。数年前に構築されたもので、専用の端末からアクセスすることで現場の座標、付近の監視カメラ映像などの必要な情報を瞬時に確認できる。
早速端末を起動して確認すると、現場はSMZから数分の距離。監視カメラ映像を確認すると同時に、清水は勝利を確信した。
ガンベルトを装着し、1911をSUREFIRE《シュアファイア》のホルスターに収める。裏口に置いてある原付で店を出発し、四分後に現場付近に到着。到着した頃には通報から十分程経っていたが、状況は変化していなかった。
清水は特に警戒しない様子で歩いて入店、というか突入。何なら「こんちわ」と言いながら。
立てこもり犯も流石に、JKもどきが拳銃だけ持って来るとは思わなかったか。始めは困惑した様子で眺めていたが、清水が3mほどの距離まで接近した頃には慌てた様子で拳銃を構え直した。
清水はその間も2.5m、2mと距離を詰めるが、犯人は慌てた様子のまま、威嚇射撃すらしない。そのままゼロ距離まで接近した清水に殴られ、そのまま拘束された。
警察を呼んで諸々の手続きを済ませ、店に戻ると、いつの間にかオーナーが生えていた。オーナーを無視して美味くも不味くも無いインスタントコーヒーを飲んでいると、珍しくオーナーが質問をしてきた。
「今日も鮮やかだったね〜映像見てたよ。――あ、そういえば。何で犯人は撃ってこなかったの?銃あったのに。」
「犯人の銃、M360にはロックが掛かっていた。目印の"LOCKED"と刻まれた部品が飛び出していたが、犯人は気づいていなかった」
それを聞いたオーナーは納得したような、していないような顔をしつつ、「なるほど。」と答えた。
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