オーナー
数日後。清水は遂に発送作業を終え、通常の業務を再開した。これまでに要した時間を考えれば、グリップパネルの販売は余裕の赤字だ。
そんな状況でもオーナーは毎日、清水に金をタカるか、それ以外の時は無駄にハイパワー、おまけに弾代も高い類の銃を撃ちまくっている。というかオーナーはそういう銃しか撃たないし、それ以外も色々デカい。なぜここまで計画性が欠如した人間がAFCU幹部の知り合いなんだ。
――などという疑問の以前に、清水からすればオーナーという人間そのものが謎だ。何故か毎日清水の家で寝泊まりする上に清水のベッドに潜り込んで寝るし、金が尽きる度に清水にタカる。が、少なくとも、清水とオーナーが結婚していない事は確かだ。事実婚でもない。にも関わらずこの横暴。清水には理解出来ない。
だが、オーナーからすれば、清水の疑問に対する答えは簡単。なぜ長谷川の知り合いかといえば、ただ幼馴染なだけだし、清水にベタベタしたりタカる理由も、清水が可愛くて金を持っているから。
しかし、オーナーが清水に対して感じている「可愛さ」が少し異常なのも確かだ。オーナーが清水に対して感じている「可愛さ」は、「両親が居ない中、健気に頑張る清水」に対する感情であり、清水の容姿、性格に対する感情ではない。
これらを全て想像し理解する事など、仕事以外の知り合いも居なければ、他人を可愛いと思った事もない清水には不可能だった。
清水はそんなオーナーについて識るのを諦め、「こんなオーナーを押し付けてきたAFCU幹部は、今頃何をしているのだろうか」などと考えていた――のも束の間、そのAFCU幹部から電話が掛かってきた。
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