第78話 当直のお仕事

 診療所に私が赴任したときは、月曜、木曜が私の当直日とされていた。当初は外来枠も少なく、当直明けの火曜日は病棟の日、金曜日は九田記念病院に訪問診療に行くか、病棟の日、となっていた。その時には、上野先生も北村先生もまだお元気で、北村先生は70歳代にもかかわらず、当直業務もされていた。私も若く、翌日に外来がなかったので、週に2回の当直もこなせたのである。


 時がたち、さすがに北村先生の当直業務は年齢的にもきついだろう、ということになり、北村先生が当直業務から離れ、代わりに源先生のご子息(この方も医師)が当直に入られるようになった。日曜日は月に1回、源先生が日当直をされ、それ以外の日曜日はアルバイトのH先生が担当されていた。火曜日は源先生、水曜日はH先生、金曜、土曜はフレキシブルにその他のアルバイトの先生が当直に入られていた。


 上野先生が亡くなられた後、源先生の業務が増え、仕事量が莫大になってきたとのことで、源先生から相談があった。もともと源先生の訪問診療の日は木曜日だったので、木曜日の訪問診療の患者さんが多かった。

 「保谷先生、相談ですが、木曜日の当直、僕(源先生)に譲ってくれないだろうか?訪問診療後の処理をすると、深夜の2時前くらいになってしまうんです。それから家に帰って、また6時前に出てくるのはしんどいのです。当直にしてもらったら行き帰りがなくなる分、休めるんです」

 とおっしゃってこられた。もちろん源先生に休んでいただくのは大切なので、当直をお譲りした。その代わりに先生の火曜日の当直をもらおうかと思ったが、そうすると、月曜、火曜の連続当直になるので、それはちょっと難しかった(診療所にはスタッフ用のシャワーやお風呂がなかったので、2日間連続でお風呂に入れない。そうすると身体は臭く、髪の毛は皮脂でベタベタになり、ふけやかゆみも出てくる)。


 ということで、月曜日は継続して当直、金曜や土曜日に当直に入ることとなったが、今度は、よく金曜日の当直に入ってくださっていた源先生の息子さんが、

 「もともとの職場で、土日の2日間日当直をすることが多く、こちらで金曜日に当直をすると3連直となるので、金曜日を外してほしい」

 と希望された。もちろんこれもOK、ということで基本的には金曜日を中心に、時には土曜日にも当直に入るようになった。月曜日に源先生の息子さんが当直に入ることが増えたが、ハッピーマンデーは基本的に私が日当直をしていた。今考えると、金、土、日でも、土、日、月でもやはり3連直なのになぁ、と思うのだが、まぁ、それはそれで希望に沿うことにした。


まぁ、そんなわけで当直日数も変化したが、変化はそれだけにとどまらなかった。


長くなるので次に続く。


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