第3話 新たな職場へ

 4月の休みを終え、GW明けから、少し緊張しながら診療所での業務を開始した。とはいえ、アルバイトで4年近く仕事をしているので、看護師さんや事務スタッフで私の顔を知らない人はいない。その一方で、日勤帯にしか働いていない人はたくさんおられて、まず、その人たちの顔と名前を覚えるのが大変だった。


 事務当直で仕事をしていた時のスタッフは大きく入れ替わっていて、その頃からのスタッフよりも、入れ替わって新たに来られたスタッフの方が多くなっていた。事務スタッフも、看護スタッフも、そして事務当直のころには事業を行なっていなかった支援センターのケアマネージャーの方、また、入院患者さんの食事のことでは栄養科のスタッフとやり取りをするが、栄養科の皆さんとも初めての顔合わせだった。もちろん古くからのスタッフもおられたが、私が記憶していた診療所とは規模もスタッフも大きく変わっていた。


 他県で生活をして驚いたのが、「夜診」という概念がほとんどなかったことであった。午後8時ころまで外来を行なっているクリニックが多いのは、私たちの地域特有なのかもしれない。


 当初の診療所での仕事は、月曜の午前診、夜診、その後当直、火曜日は外来dutyはなく、病棟に専念。水曜日午前も病棟に専念、水曜午後は職員の勉強会など、スタッフ同士のmaintainanceの時間であった。水曜の夜診は担当。木曜日の午前診、夜診を担当しその後当直、金曜日は九田記念病院の訪問診療があればそちらに、それがない週は病棟仕事。土曜日の午前診を行ない、午後は病棟、という1週間のスケジュールで開始した。午前診は8:45受付開始、9:00から診察開始、12:00に受付終了。「午後診」という診療枠もあり14:15受付開始、14:30から診察開始、16:30受付終了。夜診は17:45から受け付け開始、18:00から診察開始。20:00受付終了だった。受付終了後、しばらくは患者さんが残っているので、診察終了はそれから30分~1時間くらいのことが多かった。


 「大病院は病院の名前で患者さんが来る。クリニックは医師の人柄で患者さんが来る」

 と、医学生時代に何かの本で読んだことがある。診療所かかりつけの患者さんにとっては、全く馴染みのない医者が来たわけであるから、当初は、外来はガラガラであった。私の外来に来られた方には、誠意をもって診療を行なった。まずは顔を覚えてもらい、信頼を得ることが大切である、と思って日々を頑張った。



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