唯一は別たれその先に
創世
彼は暇を持て余していた。
余りにも長い時間、悠久の時の中で
彼はあまりにも何もなかったから身じろぎをした。
彼が身じろぎをすることによって偏りが生まれた。
その偏りによって均衡の取れた場は不均衡になった。
そしてまた永い永い時間が流れる。
暇を持て余していた彼はふと気付く。
何かが集まりつつある事に、彼はそれを認識した。
彼は初めて認識という思考動作を行った。
宇宙が定義された瞬間である。
全知全能零知零能だった彼は、全知全能よりも小さくなり、零知零能よりも大きくなった。
彼は彼自身を認識した。
彼は喜んだ。
矯めつ眇めつ眺め続けた。
そうすることで
それと同時に、全知全能より少し小さく、零知零能より少し大きい彼は、より小さくより大きくなっていた。
有限なる無限の宇宙、限りある無限に広がる宇宙。
集まっていた何かは後の世で魔素と呼ばれる物となった。
そして、この魔素と呼ばれる前の何かは後に摩素と呼ばれることになる。
不可思議な
より不均衡な素晴らしい世界を。
これら自身が不均衡になる能力を持てば良いと。
引力と斥力が生まれた。
これにより、宇宙はめまぐるしい変化を迎えることになった。
その度に彼は小さく大きくなっていた。
知覚し認識し、それを記憶する。
広大であるが故にそこにも不均衡が生まれた。
なんて素晴らしい物だと。これをもっと不均衡に素晴らしい物にしようとした。
そして
広大に広がり不均衡に蓄積されていた経験は、彼等に能力の差を齎した。
生まれた彼等は、その能力差を素晴らしいとは思わなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます