第4話

彼はラーメンが好きだった


その日の夜もお腹空いたねってインスタントラーメンを作ってくれた

私は彼の背中にただくっついてラーメンができるのをみていた


もう邪魔だよって言われても離れない私に彼も笑いながら付き合ってくれた


一緒に食べたラーメンは化学調味料の味がした

でも二人ではんぶんこ、それだけで楽しかった


洗い物は私の係

終わって寝室へ行くと彼はいつものようにオンラインゲームをしてた

私をみると膝をポンポンするからそのままゲームしている彼の膝でいつの間にか寝入ってしまった

幸せだった




夜中の一時


「風邪引くから」ってベットに移動させられた


この頃の彼はうつがひどくなってきていてほとんど眠れない状態が続いていた


少しでも側にいたくて手を伸ばしたけどまだゲームするって一緒にはねてくれなかった


いつの間にか私は寝落ちていた3時


誰かが布団をかけてくれる気配に目が覚めた


寝ぼけて手を伸ばすと彼はどこかへ行こうとしていた


『ねえ、夜中だよ?どこいくの?』


「もう死にたい」


飛び起きて彼を見るといつもの虚ろな顔


3時それは彼が死にたくなる時間


何も言わないまま出ていってしまった




ほとんど毎日がこんな感じ


私も慣れてきてしまっていた




マンション中を探す


特に上の階から飛び降りたりしないかが不安


家の近辺を探す


近くには川があるから見に行く


毎回のこと


そう毎回のこと




汗だくになって部屋に戻ると彼がいた


「なに?」


『なにって死ぬって言うから探してた』


「お前には俺なんかいないほうがいい」


『なんでそんなこと言うの?もう一緒にねよ』


「もう死にたいの、しんどいの」


毎回のこと


そう毎回、ここでなだめて寝かせて朝には普通


そう毎回のこと


『とりあえず中はいろ』


「死にたいの!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る