第2話 ハローワークに行こう!

 僕はギルドをクビになりました。


「どうしよう……」


 僕には二つ案があった。


 その一、他のギルドに冒険者登録すること。

 この世界には沢山のギルドが存在する。

 それぞれ目的を持っていて、様々な冒険者を募集している。


「しかしなあ……」


 僕はため息をついた。

 ギルドをクビになった冒険者は、履歴書に傷がつく。

 だから、他のギルドに入るのは難しい。

 つまり、信用が無くなっているということだ。

 そりゃそうだろう。

 どこのギルドも学校出たてのピカピカの新卒がいいに決まっているし、中途で採用するにしても優れたスキルを持った奴をハンティングしたい。

 僕みたいに無能扱いされて、戦力外通告された者を雇うところなんてない。


 そこで、その二の案。

 ソロでやっていくということだ。

 つまり、フリーって訳だが……

 こちらは向き不向きが大きい。

 これまでギルドが受けた仕事を僕はこなしていた。

 ギルドに所属していないということは、自分で自分を営業して仕事を取ってこなければならない。

 そして、その仕事を誰の助けも無く一人で完遂させなければならない。

 大変だが、ギルドに所属していた頃より報酬は良くなる。

 何故なら、ギルドに対して報酬の何割かを収める必要がなくなるからだ。

 つまり、何でも一人でやらなければならないが、懐は温まる。

 独立志向の強い者や人が嫌いな者は楽しくやって行けるだろう。


「だけど、ソロ活は僕には難しい」


 だが、長い目で見た時、やはりソロの冒険者でやっていくことは難しい。

 ソロだとパーティが組めないから、一人では倒せないようなモンスターを狩ることは出来ない。(例外として、傭兵という形の外注扱いでパーティには参加出来る)

 それに大規模なクエストやレイドは、息の合ったパーティでないと攻略出来ないし、そもそもソロで出来る様な仕事は少ないのが現状だ。

 傭兵にもなれない底辺のソロは、報酬の低いお使いクエストをチマチマこなしてその日を生きるのがお決まりのコースだ。


 という訳で、僕はハローワークに着いた。

 ハローワークというのはこの世界におけるギルド斡旋所の二つ名だ。

 ハローワークって呼んだ方が明るいイメージがするだろう。

 訪れる人は、僕の様にギルドからクビにされたり、ソロをやめてギルドに属そうと思ったりしている底辺者ばかりだ。

 決して、有能な者はいない。

 出来る奴はヘッドハンティングされたり、ギルド転職コンサルティングで、引っ張りだこだからだ。


「ふぅ……皆、僕と同じ様な顔してるなあ」


 皆、暗い顔で壁に貼り出されたギルドメンバー募集広告を見ている。


つづく

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