第43話 白人帝国の皇帝はテレーゼ女王の攻撃の前に消滅させられました
その頃、ホワイテア帝国の帝都ホワイトンの宮殿では敗戦の報告に皆ショックを受けていた。
「フロンティアだけならまだしも、ビッグゲートが反乱軍によって占拠されたというのか」
皇帝の言葉に宰相のテイヨが頷いた。
「ユレルミの軍勢はどうしたのじゃ」
怒り狂った皇帝ヘルッコ・ ヴィーナネンは詰問した。
「ビッグゲートを開放しようとしたユレルミ大将軍は戦死されたとの報が入って参りました」
テイヨが報告する。
「おのれ、奴隷のインディオ共がやったのか」
「ボフミエの筆頭魔導師なるものが怪鳥に乗って現れてユレルミを攻撃したとのことで御座います」
「クリスとかいう小娘か」
「はい」
「おのれ。調子に乗りおって。何としても捕まえて、余の前に連れ出せ。余自らが魔女として処刑してやるわ」
「はっ」
テイヨは平伏したが、心の中は不安だった。
ホワイテアの20万の軍がそのクリス相手に壊滅させられたのだ。通常の者が対処できるわけはなかった。余計なことをすればするほどそのクリスの小娘の怒りをかって処断されていた。
次は皇帝がその対象になるのではないかと危惧したが、皇帝に対して一言も言えなかった。
「ビッグゲートの前にインディオの奴隷たちを見せしめのために磔にせよ」
皇帝が命じた。
「陛下、それはあまりにも危険ではありますまいか」
「何じゃと」
思わず話したテイヨをギロリと皇帝が睨んだ。
「元々侵攻軍がドグリブの王女を見せしめのために磔にしようとしたのが、そのクリスの激怒をかって10万の大軍が殲滅されています。フロンティアに対しても奴隷解放しようとした者を見せしめとしようとしたことがその小娘の怒りを買って、転移攻撃に出てきたとか。今回のビッグゲート攻撃では奴隷爆弾を使った攻撃がその小娘の怒りを買って将軍が雷撃の直撃を受けたそうです。見せしめはその小娘の怒りを買ってここに直撃を受ける可能性がございます」
必死にテイヨは諌めた。
「テイヨ。貴様耄碌したのか。ビッグゲートからここホワイトンまで500キロも離れておるぞ」
「フロンティアとビッグゲートもそのくらい離れておりましたし、そもそも、アッチラ島と旧大陸は何千キロも離れておりまする。十分な射程圏でございますぞ」
「ここに来ればそもそも飛んで火にいる夏の虫ではないか。我ら精鋭の近衛師団で料理してやるわ」
「陛下。アッチラ侵攻軍は10万の精鋭だったのですぞ。それが一瞬で殲滅させられたのです。小娘を軽く見てはこの帝都が殲滅させられかねません」
皇帝にひるまずテイヨが言った。
「ええい、黙れ黙れ。誰でも良い。この宰相を引っ捕らえよ」
皇帝があまりに靡かない宰相に切れて叫んでいた。
近衛兵達は思わず、見合わせる。
「御免。皇帝陛下の命令です」
補佐官のウルヤナ・ ピーリはテイヨを拘束した。
「陛下。何卒お考え直しを」
「ええい、しつこいわ。この者をさっさと地下牢に連れて行け」
「はっ」
近衛兵2名テイヨは引っ立てられて行った。
それを忌々しそうに皇帝は見ていた。
「ご報告します。帝都近海に他国の船団が現れました」
「何じゃと」
皇帝が叫ぶ。あとからあとから余計なものが出てくるのだ。
「海軍が検問に向かった旨にございます。直に詳しいことは判るかと」
「どこぞの海賊であろう。我が海軍にかかれば一溜まりもるまい」
皇帝は笑って言った。
「それよりもビッグゲートの件じゃ。直ちに奴隷千名ほど門の前に磔にして、反乱したインディオ共に目にもの見せてやれ」
「はっ、直ちに」
ウルヤナ・ ピーリが跪いて拝命した時だ。
いきなり周りが明るくなった。
そう思った時は凄まじい光の中に一同取り込まれ、瞬間的に蒸発していた・・・・・・・
光の直撃が収まった跡には宮殿は跡形も無かった。
女王オリビアの攻撃の前に帝都ホワイトンは半壊した………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます