第30話 クリスは今度は魔の山を消滅させ貴族達は必死に駆け出しました
凄まじい爆発の後、魔の山が消滅していた。
「え、うそっ」
モニカは固まっていた。
「嘘だろ。魔の山が無くなっちまった」
「・・・・・・」
周りの魔道士の卵たちも呆然と見ていた。
「・・・・・・」
クリス自身、呆然と見ていた。
うそっ、山が消えている・・・・・
私の魔力って山を消滅するくらいあるんだ。
クリスは自分の力の大きさに呆然としていた。
(良かった。シャラザールを本気で怒らせないで。もし、シャラザールが本気で怒ったら、こんな王都、一瞬で消しくずになっていたんだ)
モニカはクリスを怒らせることは絶対にしてはいけないと改めて思った。
一方シャラザールに無理やり前線に送られた貴族達は不満タラタラだった。
「あああ、もうやってられんぞ」
貴族の一人が赤茶た大地に寝転んで言った。
路傍には疲れ切った貴族や近衛兵たちがへばっていた。
前線の優秀な戦士たちならいざしらず、近衛兵は大半が貴族出身の二男坊三男坊で、戦ったこともほとんど無かった。訓練も適当にしていたので、当然体力もあまりなかった。
そんな連中がシャラザール怖さに逃げるように走って出てきたが、時間が経って恐怖が薄れれば、やる気が失せるのも時間の問題だった。
「伯爵様」
お付きの護衛が咎めた声を掛けるが、
「やってられるかよ。何故私が遠征なんて行かねばならんのだ」
「しかし、シャラザール様が知られればなんとなさるか」
「ふんっ、ここまで来たら大丈夫だろ」
伯爵は言い切った。
「そうですよ。伯爵様。ここまでくればシャラザールの目も届きませんって」
「そうですよ」
一緒に放り出された近衛兵士たちもそれに同調する。
お付きの護衛はシャラザールの目がそう簡単になくなるとは思えなかったが………・
その時だ。凄まじい衝撃波が一同を襲う。
「な、何だ!」
寝転んでいた伯爵も衝撃で飛ばされた。
地面に叩きつけられる。
ズカーン・・・・
そして、凄まじい爆発音が遠くで響く。
皆を噴煙と爆風が襲った。
その煙の中、伯爵はなんとか起き上がった。
「な、何事だ」、
「おい、ま、魔の山が消えているぞ」
「な、何を馬鹿な」
伯爵は山のあったほうを見た。
そこには何も無かった。
「えっ、まさか」
「こ、攻撃は王都の方からだ」
「ま、まさか、シャラザール様が怒って・・・・」
「ヒィィィ」
「俺はまだ死にたくない」
「急げ、このままここにいたら殺されるぞ」
兵士達は慌てて駆け出していた。
「ちょっと待て、儂を置いていくなーーーーー」
伯爵も慌てて追いかけて駆け出した。
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