第4話「女神の覚醒… アテナとニケ」
アテナは夫である竜太郎との運命的な出逢いに感じた時と同じように、娘くみの誕生に運命を感じていた。彼女にとっては自分がこの世に生まれ落ちた瞬間から、全て定められた運命であったのだ。
母国ギリシアでの竜太郎との出会いから結婚、そして娘くみの誕生までのすべての出来事が何かの意思によって定められていた、そんな思いをアテナは胸に感じていたのだった。
それはアテナにとって、不快な思いではなかった。それよりも自分に課せられた使命を、くみを生んだ事で達成出来たように感じていた。
自分は竜太郎と結ばれるべくして出会い、そしてくみは二人の子として生まれてくるべき命だったのだと、アテナは
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くみは両親に愛されて
だが、くみ自身とアテナと竜太郎夫婦が、世間に隠さねばならないことがあった。
くみは、ギリシア神話における「勝利の女神ニケ」の生まれ変わりだったのだ…
アテナがくみの異変に気付いたのは、くみの2歳の誕生日の事だった。
その日、アテナはくみを
そろそろ帰ろうかとアテナが立ち上がり、くみがまだ眠るベビーカーを押して坂道を下り始めた時に、運命の出来事が起こった。
山を下る坂道は
歩道を下る母娘の上の方から、改造車のエンジンらしい爆音が聞こえてきた。この道は走り屋達のコースとしても人気があったのだ。振り返ったアテナの目に、かなりのスピードを出してカーブを曲がりつつある一台の車が
「だめっ… こっちへ来るっ!」
アテナには車が母娘めがけて突っ込んでくる様子が分かった。まるで予知のように、彼女の目にはっきりとその光景が映ったのだ。アテナはくみの乗るベビーカーを守るように、車との間に自分自身の身を置いた。猛スピードで迫る車がガードレールに激突し突き破った瞬間… それは起こった。
アテナが車に向かって差し出した左手が、まばゆい黄金色の光を発した… 光はアテナの全身を包み込んでいく。次の瞬間、アテナの左手は光り輝く黄金の
「イージス!」
黄金の
しかし、
「くみーっ! いやああっ!」
母アテナの絶叫
「くみぃ… ああ… 私のくみ…」
アテナはその場にくずおれ、顔を手で
「ううう… 神様… あんまりです… どうしてこんな…」
くみを失った絶望に泣きむせぶアテナ…
と、その時…
「ママー!」
くみの声だ… アテナは驚いて声の方に目を向けた。
すると目の前に奇跡が起こっていた…
2歳の
くみは飛んでいるのだ。
くみの背中には天使のような銀色の翼が生えていた。その翼を鳥のように羽ばたかせて、くみは飛んでいた…
アテナは娘くみの姿に
「ニケ… あなたも
アテナは
くみがゆっくりと舞い降り、母の胸に飛び込んだ。
抱き合う母と娘…
アテナとニケ…
二人の女神の
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