女らしく
甘味料
1
スカートが嫌いでした。
何処がどう嫌いか何故嫌いか、聞かれても言葉が見つかりませんが、スカートが嫌いでした。
女としてうまれ女として育ってきましたが、どういう訳か生理的に受け付けなかったようです。
周りは困惑しました。
男になりたい訳ではないのになぜスカートをはかないのかと何度も聞かれました。
分かりませんでした。
分かったなら今すぐに理由を説明するのに、自分の事が全く分かりませんでした。
好きな服を着たい。しかしそういうわけにもいかない。
世間に順応しない自分自身も心地が悪く、根の無い草のようでした。
親も親戚も友人も大好きでしたが、「女らしくしなさい」の言葉がどうしたって心の表面の裏側辺りを刺激しました。
出来る事なら、そうしたい。
でも嫌だ。
何故嫌なのか。
分からない。
私は確かに女なのに、女として扱われても嫌ではないのに、何故強制されたくないのでしょうか。
我が儘だ、これは。
みんなそれぞれ嫌な事に折り合いをつけて生きているのに、自分だけが文句を言っている様に感じました。
掲示板では受け止められた言葉も、きっと現実となればそれは叶わないようでした。
無視したら、いつか飽きて終わるんだろうと思いました。
もう私に女らしさを求められることが無くなり、私は私なりの女らしさを知ることが出来るのだろうと思いました。
今は、このままでいい。
もう、いい。
誰も私の話を聞いてくれないし、聞かせたくもない。
時々ふとこの人ならと思う事がありますが、もう希望を持つのを辞めることにしました。
しょうがない。
そう簡単に、人は変わらないことを知りましたから。
女らしく 甘味料 @kama-boko3
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