第8話

何か嫌な予感がする。

復活の洞窟リザライトホールから少し離れた場所で仮眠をとっていたホムラはそう感じた。

なにかはわからないけど、禍々しい心を持ったものが悪意に満ち溢れた行動をしようとしている。正直言って自分には大した敵ではない。が、あの場にいる女性からすれば十分脅威になりうる。いつでも動けるように準備しておくべきだった。失敗だったのは睡魔の方が脅威であったこと。今の今まで分かってはいたが眠すぎて放置していた。

「・・・よし」


―――――――――――――――――――――――――――――――

「あの“ゴーレム”のコアは光線を出した眼です・・・。」

「シシャモ~?それってもしかして光線出したあの一瞬を狙はないといけないの?」

「・・・そうです。」

シシャモも攻撃をずっと回避し続けていたのだ、疲労がすごい。

「もう一発ならあの技打てるけどぉ・・・どうする~?」

「・・・いえ、これは私がつけるべき決着なんです。」

「そう。ふふ、ごめん笑っちゃった。でも私もそう思うわ。頑張りなさい。」

「はい!」


“ゴーレム”は閃光を打った後一時的に行動停止していたが、まるで会話が終わるのを聞いていたかのように行動を再開した。

「速いっ!」

今までとは比較にならない速さだ。

(勝負は一瞬!・・・閃光を撃つその瞬間!)

「・・・っ!今!」

その時間わずか0.02秒。シシャモは自分の撃てる最大級の魔法を放った。

『‟ライトニングボルトⅤ”』

一瞬ののち“ゴーレム”の顔が崩れた。

【“洞窟の巨人”の撃破が確認されました。魂のかけらを入手。コード“タマゴ”の蘇生を始めます。】

「・・・」

金色の光とともに少しずつシシャモの知っている外観になる。そして・・・

【成功しました。これからのあなた達に獣神の加護があらんことを。】

「タマちゃん!!」

「ピ?ピィ!」

シシャモが勢いよく駆け寄る。

「・・・よかった。・・・ほん・・・どに・・・よがっだ。」

シシャモは涙を流しながら抱きしめた。

「私・・・頑張った・・・よ?」

「ピィ!」

「これからも・・・よろしく・・・ね?」

「ピィ!」

その時

「?!そこにいるのは誰!」

いきなりキッドが叫んだ。

「よぉ?シシャモちゃあ~ん?」

「!!どうして・・・ここに?」

そこに立っていたのは紛れもない今回の主犯である男だった。

「せっかく、そのよくわからん鳥から解放してやったのによお。」

「タマちゃんは変な鳥ではありません!!私の大切な!家族なんです!」

「あーーーはいはい。素晴らしいクソみたいな感想ありがとよお。ご褒美に・・・ここでお前の息の根を止めてやるかあ。」

『“動け!”』

その瞬間今まで死んでいたはずの3体の魔物と道で出会った魔物が立ち上がりこちらのほうへやってきた。

「コアがないのに動いている?それどころじゃない・・・なんて量なんだ。一撃で全てが片付きそうでもない・・・」

キッドはあたりを観察してそう理解する。

「ピ!」

「タマちゃんどうk?!」

唐突に目の前に一筋の光が現れた。

「・・・間に合っ・・・てないか。」

「「ホムラ君(さん)!」」

彼が現れた。


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