第9話
「てめえ、邪魔しに来たのかあ?」
「・・・そんなとこだよ。」
すごい速さで移動していたとは思えない整った綺麗な服装。雷魔法だ。シシャモよりも何倍も速い速さで雷をまとってやってきたのだ。いつもと変わらない何を考えているのかわからない顔をしてホムラは立っていた。
「てめえもミンチにでもしてやろうか?」
「・・・」
「詰まらねえ奴だもういい『“殺せ!!”』」
そういうと魔物がホムラに襲い掛かる。それをホムラは軽くいなす。
「・・・呪術?」
「ああん?知らねえよ。使える魔法使ってるだけだ!」
ホムラはそっかとボソッと呟くと、
『“雷撃”』
周りに雷の槍が浮かび上がりそれを大量に生成しながら相手に向かって放ち始めた。
『‟盾となれ”』
しかし男の周りに魔物が肉壁のように集まり簡単に防がれる。
「お~い!そんなんじゃ効かねえぞ?嬢ちゃん。」
「・・・」
「ホムラさん負けそうなの?」
「ん~~・・・まあこの感じだとーわからないかもだけど・・・決着はついてるわ。」
「え?」
どう見たって雷でのダメージはほとんど出ておらず敵の男も決定打となる攻撃はしていない。
「埒が明かないなぁ~さっさと死なねえかなあ。おいそこのデカ物さっきのやつ『‟撃て”』!」
すると今まで守るだけだった“ゴーレム”が閃光を放ったのだ。
「?!おかしい。さっきコアを破壊したはずなのに・・・動いているし」
『“結界”』
ホムラは冷静に壁を自分の前に張る。
「あ?おいおい。これ防げるのかよ。それなりには強いんだな、てめえ。」
「どうも・・・そういえば一つだけ聞いときたいことがある。」
「あ?そうだな~。冥土の土産にでも教えてやろう。」
「・・・タマゴを殺したときなんで呪わなかった?」
「あ?そいつはなあ・・・呪う価値もねえ雑魚なんだわあ。」
「・・・」
「その癖によぉ。何度も体上がる姿を見てなぁ・・・・・そのまま楽にしてやろうと思ったんだよ!!・・・最高だったぜ?消えてなくなる瞬間ってのはよお・・・」
「あなたってひとはぁ!!!」
「・・・」
「わりいな。だがよおここはゲームの中だ。関係ない。殺したことにはならねえ。初戦データでしかない。」
「もういい・・・。『“ケラウノス”』」
そう言ったホムラの手には槍が持たれていた。その槍からは圧倒的な強さを感じた。そして、ホムラの体が黄色に光っていく。
「お前には・・・命のなくなる瞬間も感じないまま眠らせてやろう。」
『“ライトニングボルト”』
持っていた槍を構え、槍を下した
「安心しろ気絶しているだけだ。」
「何を言ってるまだ俺は・・・」
そう、一瞬まばたきが終わるより早く男に攻撃を放ったのだ。
男はその場に倒れた。そして、その男の操っていた魔物も魔法が切れたのかと灰なり消えていった。
「すごい・・・。」
「さあ帰ろうか。」
そう言ったホムラは髪1つ乱れておらず息さえ上がっていない。
「まあ彼は死んではいないよ。ただもう会うことはないよ。」
「あの・・・」
「ん?」
聞きたいことはたくさんあった。でも全部を聞くことはできない。
「ホムラさんっていったい何者なんですか?」
「僕?・・・そうだね。」
そういうと振り向き言葉を発した。
「僕は魔王。・・・うん。魔王だよ。」
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