第5話

「シシャモさんの魔力は雷だね。」

「水晶が割れましたけど・・・」

「大丈夫。よく割れる。僕の時なんか光らずに消えてなくなったぐらいだから。」

「・・・そういうものなのかな~」

シシャモは首をかしげながらも納得しておいた。

「話は戻るけど、雷のできることはたくさんあるよ。」

「た、例えば何ですか?」

「相手を感電させたり、雷を設置したり、・・・原理はわからないけど電気をまとって雷と同じ速さで動くことができるよ。周りの電気となじませて自分を感電させないようにしたり・・・てかんじかな。結局はイメージ。どれだけ自分の中で鮮明かつ、具体的なイメージが作られるかが操るときに必要。できると思っても魔法のレベルが低いと荒くなったり途中で使えなくなったりしちゃうから沢山使って体に身に着ければいいんだよ。じゃあ始めるよ。」

魔法はポンと出せるものではない。体に存在する魔力を発動する場所に集めてそこから形を整えなければならない。幸い回復魔法を使っていたシシャモはすぐに要領をつかんだ。

「そうそう後は電気を発生させるだけ。そんで魔法を使いすぎると魔物も来ちゃうし、あと攻撃・防御も上げるためにいくつか体術もつかえたほうがいいからそっちもやろっか」

「はい!」

―――――――――――――――――――――――――――――

魔法を打つのに必要なものは何か。そう聞かれたとき大体の魔法に関する専門家は器と答える。簡単に考えれば魔素をたくさん体に取り込むことができる方がより多く強い魔法が打てる。

「というのは知ってるな?」

「はい」

「じゃあ器を大きくするにはどうしたらいいと思う?」

「えっと・・・」

「魔法を使うことだよ。」

本来レベルを上げると持てる魔素の量も増加する。しかし、それはあくまで今の自分に対する適性量がそれくらいであるというもの。運を除くステータスはいろいろな方法で伸ばすことができる。その一つにトレーニングがある。力は筋力の増量、スタミナは持久力の強化。守りは攻撃をくらい耐えること、素早さは瞬発力を上げる。あくまでこれは一つの例でしかないがこのようにするとその能力が飛躍的に上昇する。

そして魔力は呼吸と同じく、多くの魔素を取り入れるには一度全ての魔素を外に出し体に吸収することにより増量させることができる。

「初めは魔力を使い切ると酸欠のようになりかける。けど大丈夫、少しずつたえれるようになるから。」

「わ、分かりました。頑張ります!」

―――――――――――――――――――――――――――――

約1ヶ月の間シシャモは自分の体の扱いと魔法を習得していった。

「それじゃ・・・行くよ」

「お願いします!」

ホムラとシシャモは町の中にある道場で向かい合っていた。お互いに構えた状態で立っていた。

ホムラは自分の右手から火の魔法、水の魔法、風の魔法などをシシャモに放った。それをシシャモは動いてよけながらホムラのほうに詰めていった。そして電撃をホムラに向かって放つとそれをホムラが空いた左手で打ち消した。

「うん!いい感じまだまだいけると思うけど悪くないかな。」

「・・・もう少なくとも今日だけで100回は魔法を打っていますし体がきついんですけど・・・なんで休憩してないホムラさんは倍以上の魔法を放ちながらケロっとしてるんですか!?」

「まあほとんど動いてないしね、シシャモよりも実力ないと教える側としても申し訳ないからね。」

「・・・だとしても化け物ですよ。」

「誉め言葉として受けっととくよ。それはそうとそろそろ時間も迫ってきているし、行こうか・・・復活の洞窟へ!」

「ほんとですか?!」

「待っててねキッド連れてくるから。」

そういうとホムラはどこかに走っていった。そしてすぐにキッドを連れて戻ってきた。

「行くのね」

「はい!」

この1か月一緒に過ごした中でホムラの指導がない間シシャモはずっとと言っていいほどキッドと一緒にいた。元々面倒見のよいキッドと妹気質のシシャモであるためお互いに一緒にいることが苦ではなく、キッドからすれば仕事のサボる口じt・・・仕事合間の休憩の癒しであり、シシャモからすれば運動をした体を休める、オアシスのような気持ちになれる場所なのだ。当然一緒にいる時間も長くなる。そんなわけで仲はとても良かった。

「じゃあ行くか。」

「はい!」

『‟テレポート”』

ホムラが呪文を唱えると体を光がつつみこんだ。

「ここが・・・」

「そうだよ。君たちのゲームの町から離れた場所に見えないように置かれていたんだよ。」

「そうだったんですね・・・」

「・・・じゃあ、がんばれ!」

「はい!!」

「じゃあ頑張ろっか~シシャモちゃん!!」

「頑張りましょう!キッドさん!」

ここからはキッドと二人である。気に緩めれない、そして絶対に引けない探索が始まろうとしていた。


それを遠くから見つめている陰に気づかなかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る